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挨拶集


平成28年度入学式式辞


4月1日 幕張メッセイベントホール
 本日、ここに平成28年度入学式を挙行するに当たり、新入生並びに御列席頂きました御父母・御家族・御友人の皆様に対し心より御祝いを申し上げます。
 今年、千葉工業大学は創立以来最多の78,457名の志願者を集めました。平均競争倍率約5.7倍という大変な難関を突破し、晴れて千葉工業大学の一員になられ入学式を迎えられた感慨はひとしおだと思います。桜満開の今日、才気溢れ前途洋々たる皆様をお迎えできたことは、千葉工業大学にとりましても大きな慶びであります。
現代社会はグローバル化の時代と言われています。グローバル化というのは、国を介して物事が動く国際化のように単純なものではありません。様々な垣根や境界が取り払われた全地球的な社会の到来を意味します。これからは人や企業が全地球的に活動しないような国は発展しません。競争は益々激しくなりますが、同時に市場も世界的規模に大きくなります。これは皆さんの活躍の場、皆さんが力を発揮できるフィールドやチャンスが大きく広がることを意味しています。しかし、食糧・エネルギー・地球温暖化・環境破壊・自然災害・感染症・格差等、全人類が協力して取り組まなければならない課題があることも事実です。
 このような時代が到来した一番の要因は、科学技術の進歩に外なりません。最先端の科学技術によって、大量の情報が国境を越え瞬時に移動する。その情報に基づいて、人や物そしてお金がダイナミックに動く。これが現代社会の仕組みです。情報を速やかに正しく判断して使うことが、今そしてこれからの社会を生きていく人間には欠かせません。皆さんは、将来科学技術の進歩に携わるための力だけではなく、科学技術を正しく使いこなすための判断力を千葉工業大学において養ってください。「誰が言うことが正しいか」ではなく、「何が正しいか」ということを考えて生きる力を身に付けてください。そのためには、専門的な能力は勿論のこと語学力や幅広い教養を身に付けなければなりません。
 千葉工業大学は、慶應義塾大学理工学部の前身である藤原工業大学に次いで、日本で2番目の私立工業大学として昭和17年に創立されました。戦前は、政府が国立大学以外に工学部の設置を殆ど認めなかったため、我が国で工学部を設置できた私立大学は僅かでした。その中でも、大学予科3年・本科3年の教育課程を認められたのは、千葉工業大学と藤原工業大学そして早稲田大学の3つの大学だけでした。
 当時の教育月刊誌である「帝国教育」には、独特の教育方針を持つ大学が創設されたとして本学が紹介されています。大学予科或いは旧制高等学校で音楽が正規科目にあったのは本学だけでした。このため、本学の入学試験では数学や英語といった学科試験の他に、工業大学でありながら絶対音感をはかる試験がありました。これは、英国のオックスフォード大学やケンブリッジ大学の名門カレッジの入学試験にある楽器演奏にも通じるものです。
 入学後、ドイツ語の授業ではゲーテのファウストを原語で読みました。国立音楽大学の前身である東京高等音楽学院の生徒とともに、日比谷公会堂において開催されたヨーゼフ・ローゼンシュトック指揮による日本交響楽団のベートーベン交響曲第九番の演奏会に参加し、ドイツ語で歓喜の歌を合唱しました。また将来社会で指導的な地位に就く者の心得として、太平洋戦争中であるにもかかわらず、全学生が正装をして教授陣とともに有名レストランで食事をしてテーブルマナーを学び、上野の森ではレオナルド・ダヴィンチ展を鑑賞しました。
 勿論、理工学の専門教育や語学教育も徹底して行われました。当時の時間割表を見ると、月曜日から金曜日には毎日6から7コマの、土曜日にも4コマの講義や演習が空き時間なく配置されています。まさに、本学の創立に当たり小原國芳先生と西田幾多郞先生が標榜した、千葉工業大学の建学の精神でもある、世界文化に技術で貢献する真のエリートたる人材、高度な専門能力と豊かな教養を身に付けた人材を養成しようとする教育が実践されました。
 この時代に本学で学んだ皆さんの大先輩に、乗富一雄先生がいます。乗富先生は福岡県の農家の長男として生まれ、北原白秋の母校でもある伝習館から本学に入学しました。卒業後は理学の道に進まれ、秋田大学と九州大学において教授として教鞭をとられ、日本地震学会会長としても活躍されました。乗富先生を知る人は、先生は汗をかくことを厭わず、むしろ好んで野外観測に出かけ、そこに生い立ちの原点にある土の香りを感じたが、一方で先生は人間的に非常にスマートであった、と回想しています。先生はこの実行力とスマートさを本学で身に付けられたのかも知れません。
 「世界文化に技術で貢献する」という建学の精神は、千葉工業大学に関係する全ての人々が目指し、実行し、今日(こんにち)まで脈々と受け継がれています。学部生の皆さんは、不要な誘惑に負けず、将来のために高い目標を定め、それに向かって主体的に自分自身を鍛えてください。そして4年後には、グローバル社会を生き抜くためのより強靱な知力を身につけるために、是非多くの人に大学院に進学して頂きたいと思います。本日大学院に入学された皆さんは、専門性を高め学問と研究を究めるための意志と英知を持った集団です。専門的な知識や語学力に加えて、地球上にある様々な課題を解決するための研究能力を更に高めてください。
 千葉工業大学に入学された皆さんが充実した大学生活を送られることを願っています。是非これからの学生生活において自己の可能性を最大限に引き出し、新しい課題に果敢にチャレンジされることを心から期待して私の式辞といたします。千葉工業大学御入学、おめでとうございます。
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