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挨拶集


平成26年度学位記授与式式辞


3月22日 幕張メッセ・イベントホール
ここに平成26年度、学部・大学院学位記授与式を挙行するに当たり、大学を代表致しまして卒業生・修了生諸君並びに御列席の御家族・御友人の皆様に対し心より御祝いを申し上げます。本日、晴れてこの千葉工業大学を巣立って行かれるのは、学部卒業者1807名、大学院修士課程修了者190名、博士学位受領者6名、合計2003名に及びます。

さて、私は、今ここにいらっしゃる卒業生・修了生の皆さんよりも30歳程年を取っています。30年前、私が大学を卒業した時には携帯電話はまだありませんでした。理工系の学生でもパーソナルコンピューターを持っている者はごく少数でした。タブレット端末は勿論のこと、ノートパソコンも存在しませんでした。今、皆さんの殆どが手にし、毎日使っているこれらの機器も30年前にはなかったわけです。30年の間に我々の生活様式も随分と変化したと感じています。そこで、今日は30年後の日本の姿について考えてみましょう。30年後というと、50歳を過ぎて脂の乗りきった皆さんが様々な場所でまさに大活躍している時です。その頃日本はどんな国になっているでしょうか。

70年前の戦災による焼け野原から、日本は東洋の奇跡と言われた復興と高度経済成長を急速に成し遂げ、僅か23年で世界第2位の経済大国になりました。この成長を支えたのは、海外から輸入した安い原材料を質のよい工業製品に加工し輸出する製造業や、新幹線をはじめとするインフラストラクチャーを整備する建設業の技術力に外なりません。これらの技術力は、科学や工学の高い教育水準を背景に官民一体となって高められ、製品の品質・性能の良さ、安定性・安全性等において世界最高峰に達しました。そして、多くの国が戦後の日本を模範として国づくりを行うようになりました。その後日本は安定成長期に入りますが、1990年代初頭のバブル景気の崩壊以後も今日まで実質経済成長は続いています。

では、これからの30年間も日本は成長し続けることができるのでしょうか。残念ながら、今後は順風満帆には行かないと言わざるを得ません。例えば、現在日本では約30%の人が製造業に従事、すなわち工業製品をつくり販売することで生計を立てています。しかし、30年後にはこれが10%に減ると予測されています。その理由には、企業が工場等の生産拠点を人件費が安く市場に近い海外に移転すること、情報技術、機械・ロボット技術等の進歩により人手をかけずに大量生産が可能となること等があります。日本では、ものつくりのために人がいらない時代がやって来ます。

更に少子高齢化も大きな問題です。日本の労働力人口は30年後には1000万人以上減ると予測されています。この時1人当たりの生産性が現在と同じであったならば、日本の経済規模は約20%縮小すると言われています。人口も減少し、既に物が溢れている日本では、ものをつくっても売れない時代がやってきます。

そんな中、日本を模範として技術力を高めてきた国が、日本に負けない工業製品をつくり販売するようになって行きます。日本が競争に勝ち抜くためには、科学技術をこれらの国以上に発展させること、生産性を高めること、新機軸を打ち出すこと、今以上に海外市場を広げることが必要となります。

こうして見ると前途は多難ですが、もしかすると、30年後の皆さんは今までとは全く違うやり方で存在感を示しているかも知れません。今までのような、各国が市場や富や資源の獲得競争に邁進する時代が終わる可能性があるからです。

現代社会はグローバル化の時代と言われています。様々な垣根や境界が取り払われた全地球的な社会が間違いなく到来します。人や物そしてお金が国を超えてダイナミックに動く社会が実現します。今後は地球規模での持続可能性という視点に立って、全人類が分け隔てなく協調し連携することによって、環境破壊、地球温暖化、感染症、食糧、エネルギー、格差問題等の解決に取り組む必要があります。30年後の皆さんは、それらの解決のために世界をリードしているかも知れません。

以上が私の予想ですが、日本が新たな競争に勝ち生き残るためにも、或いは全地球的な課題解決をリードするためにも、工学の目的である価値を創造する力が必要であることには変わりありません。千葉工業大学が築いてきた多様な人間が集まり自ら学び創造し発信する校風は、新しい価値を生み出すことに適したものであるはずです。千葉工業大学において学び研究し、人間的にも大きく成長された皆さんが、物事を自分で考え解決して行く能力、コミュニケーション能力、リーダーシップを更に磨き、日本そして世界を支える力になってくれるものと大いに期待しています。

どうか常に先の時代を見据えて志高く精一杯生きてください。諸君の未来が豊かで実り多いものであることを心からお祈りしています。

卒業生・修了生諸君、本日はおめでとうございます。
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