2020(令和2)年度予算及び決算について

2020(令和2)年度予算の編成方法について

基本方針は、前年度予算比ゼロシーリングとして年度を開始しましたが、新型コロナウイルスの感染拡大により、予算執行を10%程度削減してコロナ対策費に充てる方針としました。
既存の業務は、過去5年程度遡及してその効果の検証や見直しを行い、コスト削減や効率化を踏まえた新たな施策を検討します(スクラップアンドビルド)。
教育の質の向上及び研究の充実に真につながる予算編成を目指します。
学生生徒等納付金以外の外部資金(科学研究費補助金、受託事業収入、特別補助等)獲得にさらに注力します。

2020(令和2)年度決算における財務ポイント解説

2020(令和2)年度決算

事業活動収入

事業活動支出

貸借対照表


※ 合計は、各項目を四捨五入して表記しているため一致しないことがあります。

教育活動収支

教育活動収入計

教育活動収入計は、全ての科目で予算比増となり、171億7,200万円となりました。前年度比では、学生生徒等納付金、寄付金、経常費等補助金などが増加しています。

教育活動支出計

教育活動支出計は、予算比4億2,600万円減少し、156億8,600万円となりました。

a. 人件費

人件費は、前年度比で退職金が増加したものの、教職員人件費の減少により、予算比5,300万円減、前年度比2,800万円減の74億1,500万円となっています。

人件費比率は、41.9%で理工系他複数学部を有する私立大学の平均値(48.6%)に比べ、引き続き良好な水準となっています。

b. 教育研究経費

教育研究経費は、消耗品費、委託費、報酬・手数料等で予算に対して少ない執行額となり、予算比3億1,200万円の減少となりました。前年度比では、コロナ対策や国の修学支援制度により奨学厚生費や委託費が増加したものの、受託研究費や消耗品費、旅費交通費などが減少したため、ほぼ同額となっています。

教育研究経費比率は37.4%で、理工系他複数学部を有する私立大学の平均値(35.7%)に比べ高い値となっています。今後も同程度の比率が続くと予測しています。

c. 管理経費

管理経費は、予算比6,100万円、前年度比1億2,500万円の減少となりました。広報費をはじめほとんどの科目で減少しており、全体としては経費圧縮に努めた結果となっています。

管理経費比率は9.4%で、理工系他複数学部を有する私立大学の平均値(6.2%)と比べ若干高くなっていますが、今後更なる経費圧縮に努めて参ります。


教育活動外収支

教育活動外収入計は、主に有価証券の受取利息・配当金により5億1,100万円となりました。

教育活動外支出はありませんでした。


特別収支

特別収入計は、有価証券や備品等の資産売却差額で7,200万円、現物寄付で1億7,200万円、施設設備補助金で5,700万円、あわせて3億200万円となりました。

特別支出計は、図書処分差額などで400万円となりました。


事業活動収入計

事業活動収入計

事業活動収入計は、前年度比で7億7,600万円の増加となっています。

主な要因は、教育活動収入の学生生徒等納付金(2億5,800万円増)、寄付金(2億3,300万円増)及び経常費等補助金(3億1,000万円増)、特別収入のその他の特別収入(1億6,300万円増)などが増加したことによるものです。


事業活動支出計

事業活動支出計

事業活動支出計は、前年度比で5億1,900万円の減少となっています。

主な要因は、次のとおりです。


人件費   2,800万円減
 主な内訳 教員人件費 8,000万円減
  職員人件費 6,400万円減
  退職金 6,400万円増
  退職給与確定拠出金 3,800万円増
教育研究経費   2,000万円減
 主な内訳 消耗品費 1億1,700万円減
  奨学厚生費 5億700万円増
  委託費 8,200万円増
  受託研究費 1億4,700万円減
管理経費   1億2,500万円減
 主な内訳 旅費交通費 2,700万円減
  広報費 3,900万円減
教育活動外支出   2億2,100万円減
特別支出   1億2,600万円減


基本金組入前当年度収支差額

基本金組入前当年度収支差額

この結果、基本金組入前当年度収支差額は22億9,500万円の収入超過(事業活動収支差額比率12.8%)となりました。


基本金

基本金組入額

主な基本金の組入額は、次のとおりです。

① 第1号基本金 組入額 △3億4,000万円

 

事項 組入額 除却額
 1  建物 100万円 2億600万円
 2  構築物 400万円
 3  教育研究用機器備品 7億2,300万円 9億4,100万円
 4  管理用機器備品 2,100万円 1億5,200万円
 5  図書、車両他 4,800万円 3,200万円
 6  ソフトウェア 1億9,400万円
9億9,100万円 13億3,000万円

注)合計は、各項目を四捨五入で表記しているため一致しないことがあります。


② 第2号基本金 組入額 10億円

 

事項 組入額
 1  教育環境整備資金(津田沼) 10億円

当年度収支差額

これらの結果、当年度収支差額は16億3,400万円の収入超過となりました。

翌年度の繰越収支差額は、前年度繰越収支差額を合わせると、54億7,000万円の支出超過となりました。


今後の課題

今後も引き続き財務基盤の安定をはかるため、次のような課題に取り組んでいきます。

[収入面]

① 学生生徒等納付金の安定的確保
学生生徒等納付金は経営的に最も重要な要素であることから、引き続き在籍者の確保に努めます。そのために、教育力の一層の向上、教育環境の充実や学生への修学支援強化を進めます。留年・退学者数は減少し、改善が進んでいます。

② 外部資金の獲得強化
国庫補助金、受託事業収入、科学研究費補助金などの外部資金の収入増加を図るため、体制を強化していきます。

③ 低金利環境下で、より効果的な資産運用を行っていくとともに、リスク管理の徹底を図ります。

④ その他の収入源確保策の検討を行います。


[支出面]

① 管理経費の効率化
今後、益々収支状況は厳しくなるとの予測から、平成29年度~30年度に経費削減計画を実施し、財務基盤の維持に努めてきました。
昨今、新型コロナウイルス感染拡大により収支状況が大きく影響を受ける中、更なる経費削減を進めて積極的な財務運営を行っていきます。費用対効果を検証し業務の改善や効率化を図ることにより、管理経費の圧縮と健全な収支状況の維持に努めます。

② 教育研究経費の見直し
徹底した新型コロナウイルス感染症対策により教育環境の維持・継続に努めます。また、サービスの向上と、学部・学科の特色を活かしたメリハリのある教育展開を目指し、従来の方法にとらわれず、新たな視点から業務の改善や効率化に取り組んでいきます。

注1)理工系他複数学部を有する私立大学の平均値は、いずれも令和元年度全国大学部門(158大学)の値から算出
<出典>「今日の私学財政」日本私立学校振興・共済事業団

注2)比率の計算式
人件費比率 : 人件費÷経常収入    教育研究経費比率 : 教育研究経費÷経常収入
管理経費比率 : 管理経費÷経常収入  事業活動収支差額比率 : 基本金組入前当年度収支差額÷事業活動収入計