千葉工業大学 プロジェクト研究年報 2015年版
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研究項目: 教育研究助成金 研究期間: 2014/4/1 ~ 2015/3/31 研究課題名(和文): 外国人留学生と日本人学生双方にメリットのあるPBL教育コンテンツの開発 研究課題名(英文): Development for PBL Contents for both Foreign and Japanese Students 研究者: ○鴻巣 努 千葉工業大学 KONOSU Tsutomu 社会システム科学部 プロジェクトマネジメント学科 教授 1. はじめに 人的資源管理の現場では,企業の国際化戦略に耐えうる人材の育成が急務であり,その素養を持った学生の必要性が高まっている.こうした背景から,大学への外国人留学生の受け入れに対する社会的要請が高まっている.受け入れにあたり,日本人学生との接触を持てる機会を提供できれば双方のメリットがより高くなると考えられる.しかし,単に両者を混在させて講義を行うことは非現実的であり,そのための教育コンテンツを準備する必要がある.そこで,本研究では両者ともに感心高く,あまり語学力に依存せずに参加可能なPBL学習コンテンツの開発を目指す.多国籍の学生との交流を通じ,場面における意思表示の訓練が可能となり,学習意欲の向上が期待できる.また,外国人留学生は日本人学生との接触の機会を持つことで日本に対する理解が高まり,留学に対して自身の専門に関する知識の獲得とは別の価値を見出すことが可能となり,コミュニケーションスキルを身に付けることができる. 共同学習コンテンツの作成にあたっては,まずワークショップに参加する学生の集団への凝集性や性格特性による行動を探り,どのような配慮を行うことがワークショップへの積極的な参加を促すことになるかを探る必要がある.そこで本研究では,まずワークショップに参加する学生の集団凝集性および性格特性に関する分析手法を確立し,チームビルディングに関する知見を得ることとする. よって,本研究ではまずファシリテータの性格特性と集団意思決定におけるメンバの発話の分析することによって,ファシリテータの性格特性の違いが会議にどのような影響を与えるのかを明らかにした.これにより,PBLにおける効果的なファシリテーションが可能となり,多国籍のPBLにおいて参加者の負担が少なく参加可能なチーム編成の一助になると考えられる.次に,文化背景の異なる学生同士が参加しやすい討論課題を作成し,議論がどのように集約されていくかの傾向を探った. また,一部の課題におけるシミュレーションおよび今後の交流の可能性を探るため,泰日工業大学経営学部およびラチャモンコン工科大学大学院経営学研究科とは情報交換を 行っており,訪日ツアーのコーディネートを引き受けるなど継続的な交流を行っている. 2. インターンシップおよび交流イベントの開催 本研究における研究成果の確認および今後の交流の礎として定期的に学生の派遣および受け入れを行っている.平成26年度はラチャモンコン工科大学大学院経営学研究科の学生43名および教員3名を受け入れた.国際協同によるワークショップ,フィールドワークを実施し,参加学生からは双方の文化やマネジメントに関する習慣に関する理解が深まり,有意義だったとのコメントが寄せられた. 図1 ラチャモンコン工科大学大学院学生とのセミナー 3. ファシリテータの性格特性がワークショップに与える影響に関する考察 文化的背景の異なる学生が協同でPBLを受講する場合,ファシリテータの果たす役割は重要である.そこで,本研究ではファシリテータの性格・行動特性が参加者の発話・ワークショップへの参加意欲にどのような影響を与えるかを調査した. 3.1 研究方法 本研究では千葉工業大学社会システム科学部のコミュニケーションマネジメントを受講している学生168名を実験協力者とした.手続きは次のとおりである. 832015 千葉工業大学附属研究所 プロジェクト研究年報          Project Report of Research Institute of C.I.T 2015    

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