千葉工業大学 プロジェクト研究年報 2015年版
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研究項目: 教育研究助成金 研究期間: 2014/4/1 ~ 2015/3/31 研究課題名(和文): 現場教育を取り入れた学科間連携PBLカリキュラム 研究者: ○太田 祐介 千葉工業大学 OTA Yusuke 工学部未来ロボティクス学科 教授 佐藤 弘喜 千葉工業大学 SATO Hiroki 工学部 デザイン科学科 教授 安藤 昌也 千葉工業大学 ANDO Masaya 工学部 デザイン科学科 教授 五百井 俊宏 千葉工業大学 IOI Toshihiro 社会システム科学部 プロジェクトマネジメント学科 教授 久保 裕史 千葉工業大学 KUBO Hiroshi 社会システム科学部 プロジェクトマネジメント学科 教授 平井 成興 千葉工業大学 HIRAI Shigeoki 未来ロボット技術研究センター 副所長 富山 健 千葉工業大学 TOMIYAMA Ken 未来ロボット技術研究センター 研究員 1. はじめに ロボティクス技術は,日本が世界に誇れる技術の1つである.最近,首相により「ロボット革命」が提唱されるなど(1),国家戦略としての一端を担うものであり,本学未来ロボティクス学科も日々,その最先端技術の開発と研究に従事している.この様な状況の下,本学の未来ロボティクス学科においても,未来のロボット技術者を育成すべく,学生に対してロボティクス教育を実施している.しかしながら,現実としては, 1) ロボットを作るための技術(シーズ)は盛んに教えているが,どんなロボットを作れば良いか(ニーズ)についてはほとんど教えていない, 2) ロボットを産業化するために必要な,ものづくりを越えた技術を教えていない, 3) ロボット系の学科では,ただでさえ教えなければいけない技術項目が多いので,上のようなことを教える余裕が無い, 4) ロボットを作ること自体が面白いので次々とロボット作りをし,作ったロボットがどう役に立つかまでを学生は(教員も?)考えない, といった点が問題となって現れている.特に上記4) に対する問題は意外と大きく,学生のみならず教員が(あるいは教員が学生を先導して)自由気ままに好きな(役に立たない)ロボットを製作しているだけ,となってしまっては,ロボティクス技術が社会性を失っていくこととなり,目指す方向と全く逆に向かってしまう.それよりも学生に対して,好きなこと「だけ」を実行していれば良い,と言う教育を施すことは,現実的ではなく,ますますロボットの世界は現実からかけ離れたものとなっていってしまう.これでは,社会に対する貢献度が低くなってしまうのみならず,ますます実社会と隔離され,ヒトも技術もいわゆる「引きこもり」をおこしてしまう. この状態から抜け出るための方法の一つとして,我々は「現場教育」と「学科間連携PBL」をキーワードに図1に示すような形態で,「ロボティクス社会実装演習SI-LAB」として構築した.本活動においては, 1) 大学の学部・学科間を跨ぎ,学生・教員が連携することにより,それぞれの専門分野の再認識と融合・相補効果を狙う, 2) 学生主体のPBL形態をとることにより,自主的・実践的な力を育成する, 3) 社会実装を目的とした目標の明確化と,現場からの意見・専門家の評価が直接学生に伝わることによる優れた教育効果が得られる, 4) 以上を通じて,専門性の深さと幅を兼ね備え,社会的課題を発見し,解決できる科学技術人材を育成する, ことを目指し実施した. 以降,詳細について順次説明していく. 図1 学科間橋渡しカリキュラムの概念図 812015 千葉工業大学附属研究所 プロジェクト研究年報          Project Report of Research Institute of C.I.T 2015    

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