千葉工業大学 プロジェクト研究年報 2015年版
76/168

図1. 各関節における立ち上がり動作の角度変化 (陸上環境を灰色,水中環境を黒色で示した) 今後は 3 次元動作をも考慮に入れた分析が必要となってくる可能性がある.その場合は長内転筋や中臀筋など,股関節の内外転動作に関わる筋活動を測定することも必要になる可能性がある.また,股関節に違いが見られたことは,それに続く上半身,主に体幹部分でも水中環境と陸上環境で違いが見られる可能性が高いと思われ,立ち上がり動作の主体である下肢のみに着目するのではなく,全身を対象に測定,分析を行っていく必要があると考えられた.つまり,腹直筋,外腹斜筋,脊柱起立筋などの計測も考慮に入れる必要があるかもしれない.実際に,Cuesta-Vargas ら(2013) 5) は,水中環境での立ち上がり動作と陸上環境での立ち上がり動作時の筋活動を評価し,特に体幹部分の筋活動で違いが見られた (水中での筋活動が陸上よりも大きかった) と報告している.彼らは動作分析を同時に行っていないため筋活動がどのような局面で,何故違いが見られたのかの詳細については明確ではないが,今後は体幹部分についての筋活動と動作分析をも合わせた研究も必要になってくることが想定される. 本研究に関する主な発表論文 本報告書の作成時点では本研究に関する主な発表論文はないが,本助成によって得られたデータを分析した結果を用いた英文論文を執筆中である. 参考文献 1. 浅川康吉,池添冬芽,羽崎完,黒木裕士,河野一郎,神先秀人.高齢者における下肢筋力と起居 ・移動動作能力の関連性.理学療法学.24(4), 248-253, 1997. 2. 佐藤大輔,金田晃一,若林斉,野村武男.異なる運動頻度の水中運動が要介護認定者の起居・移乗移動動作に及ぼす影響.体力科学.56, 141-148, 2007. 3. Barela A, Stolf S, Duarte M. Biomechanical characteristics of adults walking in shallow water and on land. Journal of Electromyography and Kinesiology. 16(3), 250-256, 2006. 4. Miyoshi T, Shirota T, Yamamoto S, Nakazawa K, Akai M. Lower limb joint moment during walking in water. Disability and Rehabilitation. 25(21), 1219-1223, 2003. 5. Cuesta-Vargas, A. I., Cano-Herrera, C. L., Heywood, S. Analysis of the neuromuscular activity during rising from a chair in water and on dry land. Journal of Electromyography and Kinesiology. 23(6), 1446-1450, 2013. 642015 千葉工業大学附属研究所 プロジェクト研究年報          Project Report of Research Institute of C.I.T 2015    

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です