千葉工業大学 プロジェクト研究年報 2015年版
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研究項目: 科研費申請準備支援助成金 研究期間: 2014/4/1 ~ 2015/3/31 研究課題名(和文): プログラムマネジメント支援プラットフォームの実装研究 研究課題名(英文): An Implementation Research of an ICT Platform Supporting the Program Management 研究者: ○田隈 広紀 千葉工業大学 TAKUMA Hironori 社会システム科学部 プロジェクトマネジメント学科 助教 1. はじめに 社会イノベーション事業の実践には,多様な人材の共創を促す情報基盤が求められる.これに関連し「プロジェクト&プログラムマネジメント(以下P2M)」では,日本組織の特徴を「ミドル層を中心とした自律分散的な組織風土」と捉えており,プログラムに参加する人材の人的交流や知財活用を促す基盤を「プラットフォーム」と呼んでいる(1).これまでに筆者らは,事業の計画・評価ツールである「ロジックモデル」と「バランススコアカード」をWeb上で共有できるICTシステムを実装し,これを実験系の大学研究で活用して,研究業績が経年で向上することを確認した(2).これは既存の計画・評価ツールを用いて実装したプラットフォームの実証研究の一つである.今後はプログラムの計画・評価により適したフレームの考案や,知財活用を促進するデータマイニング機能の実装等が求められている(3). 2.研究の内容 (1)プラットフォームの要求定義 プログラム活動における「最終的なインパクト」,「中期的なアウトカム」,「短期的なアウトプット」及び,そのKPI(Key Performance Indicators)の管理,そして「必要なリソース」の構造を,Web上で視覚的に設計・共有可能なプラットフォームの実装イメージを,サーベイ及び聞き取り調査に基づき考案した(図1,詳細は後述の4(1)及び参考文献(3)に記載).プログラムの構造を視覚的に表現する様式,人的交流を促進する機能,知財活用を促進する機能として,20項目の要件事項が抽出された. 図1 プログラム支援プラットフォームの実装イメージ (2)既存のSNSを用いたプラットフォームの試行 既存のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を用いてこれを部分的に実装し,地域活性化活動及び,教育機関における人的交流にて,効果の確認を行った(詳細は後述の4(2)(3)(4)に記載).人的交流・知財活用に関連する導入効果として,人材間の連絡の効率化,企画等のディスカッションの促進,知的成果物の保管・再利用の円滑化が図られていることが確認された. (3)ICTプラットフォームの根幹部分の実装 上記の実装イメージ及びSNSを用いた試行の結果に基づき,プログラム活動の視覚的な構造とKPIをWeb上で設計・共有できるプラットフォームを実装した(図2)(4).本プラットフォームでは,Web上でプログラム活動における長期インパクト・中期アウトカム・プロジェクト・リソースの構造を描画可能にし,さらにそれぞれの要素に複数のKPIを設定できる.これにより,プログラム活動の各要素の関係性を具体的に表現・理解することが可能になる.また,要素間の関係を電子的に保管することで,データマイニングを行う際に,より正確な相関・共起分析が可能になる.なお,本プラットフォームは標準的に機械学習機能を提供しているMicrosoft Azure上で稼働させている. 図2 プログラム活動の設計・共有機能の画面 下記からデモ環境を操作可能(2015年7月現在) URL: https://inolab.azurewebsites.net アカウント:demouser@gmail.com/AsdfgH123456 3.まとめ 本研究でプログラム活動の設計・実行・評価を支援する,独自のICTプラットフォームの根幹的な機能を実装した.今後はプログラム活動のオープン化によって組織内での重572015 千葉工業大学附属研究所 プロジェクト研究年報          Project Report of Research Institute of C.I.T 2015    

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