千葉工業大学 プロジェクト研究年報 2015年版
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研究項目: 科研費申請準備支援助成金 研究期間: 2014/4/1 ~ 2015/3/31 研究課題名(和文): システム構造変化の検知手法の研究 研究課題名(英文): Research on the detection method for system structural changes 研究者: 岩下 基 千葉工業大学 IWASHITA Motoi 社会システム科学部 経営情報科学科 教授 1.はじめに ブロードバンドネットワーク,クラウドコンピューティング,多様なモバイル端末などの高速情報通信技術を基盤とした多様で高度なサービスが迅速に提供可能となっている.それに伴い,電子商取引(EC)は盛んに利用されて,市場としても増大の一途をたどっている.しかし,その反面様々なプロバイダが出現し,クラウドコンピューティングを介してユーザに提供されるため,サービス間の料金管理は複雑になると考えられる.そのため,料金誤請求等の問題が発生すると,多くのサービス関与者に影響を及ぼすことから,正確な料金管理は必須条件となる.今年度は,将来出現する様々なサービスに伴い複雑化するECに焦点を絞り,それをサポートする料金管理にどのような新たな機能が必要となるか,またその仕組みについて,サービスやビジネスモデルの構造変化の観点から検討を実施した. 2.研究の内容 これまで提供されてきた料金管理システムは,提供時期や仕様が明確に決まっているサービスに従って構築されてきた.今後提供されるサービスもターゲットに含めて,どのような機能が必要かという検討はなされていなかった.現在提供されているサービスだけでなく,今後提供される可能性のある様々なサービスも含めて料金管理に必要となる機能を抽出するには,まずビジネスモデルを構築していく必要がある.その検討を効率的に行うため,表1に示すとおりサービスに関与する人(以下,プレーヤと呼ぶ)を,エンドユーザ,プロバイダ,ホルダ,決済機関の4つに分類した.また,各々の分類内をさらに第2カテゴリとして詳細化した.一般に,第2カテゴリにおけるPSPには,ISP (internet service provider)や,MSP (management service provider),CSP (communication service provider),SSP (streaming service provider),CI (contents integrator), SecSP (security service provider),PoSP (point service provider)などが含まれる.一方,HSPには,DC ( data center)が含まれる. 多くのエンドユーザは,アマゾン,楽天,ヤフー等の代表的なECサイトで,商品を購入している.エンドユーザの購入に対する考え方を図1に示す.60%のエンドユーザが,あるECサイトで商品が見つからなかった場合は,他のECサイトに移ると回答していることがわかる. 表1.プレーヤの分類 図1.ECサイトでのエンドユーザの行動 従って,エンドユーザは図2に示すように、ユーザは製品1を購入する際に,プロバイダが提供するサイトBで見つからない場合は,サイトA経由で購入することとなる.一方,製品2はサイトBでしか扱っていないので,サイトB経由で購入する.このようにプロバイダを経由して目的の商品を購入するため,どのプロバイダ経由で購入されるかといった情報は,ホルダにとっては重要となる.また,プロバイダの仲介が多くなることから,請求書の発行数やその料金の管理も複雑になると考えられる. 452015 千葉工業大学附属研究所 プロジェクト研究年報          Project Report of Research Institute of C.I.T 2015    

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