千葉工業大学 プロジェクト研究年報 2015年版
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3.ロール姿勢回復飛翔 止まり木から,ロール姿勢60°,ピッチ姿勢50°で飛びたち,2はばたきでロール姿勢0°まで姿勢を回復している様子を図3に示す.なお,これらの数値は,カメラ画像から画像処理により求められている.主に翅の打ち下ろし時に,さらには,振動しながらロール姿勢を回復していることが分かる. 4.数値計算による流れ場の可視化 次に,カメラ画像からのデータに基づいて翅周りの流れ場を可視化し,左右の渦の挙動を解析する. 図4 流線と翅周りの渦の変化(発表論文1) 図5 翅周りの等圧力面の変化(発表論文1) 図4にはロール姿勢回復時における流線の様子を,図5には翅周りの等圧力面を示す.撮影した蝶の映像に数値計算結果をスーパーインポーズしている.前翅前縁から渦を形成し,左右でその大きさを変えて左右反力の違いを作り出し,ロールモーメントを発生させていることが分かる.左右の翅の圧力値,ロール・ピッチ・ヨーモーメント値などの定量的な解析は,発表文献(1), (2)を参照されたい. 5.まとめ 蝶型はばたき飛行におけるロール姿勢安定化のメカニズムの解析のため,高速度カメラで飛翔を撮影し,数値計算により翅周りの流れ場を予想し可視化した.これにより,左右の渦の生成過程,ロールモーメント発生メカニズムを明らかにした. なお,ここでは,能動的な翅運動に着目し解析を行ったが,翅剛性や翅形状による受動的な姿勢安定化の解析が今後の課題である.また,PIVでの測定値等との比較,数値計算データ同化手法の開発なども本申請課題の本来の目的である. 本研究に関する主な発表論文 (1) Masahiro SHINDO, Taro FUJIKAWA, Koki KIKUCHI, Analysis of Roll Rotation Mechanism of a Butterfly for Development of a Small Flapping Robot,American Transactions on Engineering & Applied Sciences, Vol.3(4), pp.233-250, (2014). (2) 進藤匡浩,藤川太郎,菊池耕生他,蝶型はばたき飛行ロボットの開発―飛行中の蝶に発生する回転モーメントの解析―, 日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会'14, 3A1-J04, (2014-05). 参考文献 (1) Taro FUJIKAWA, Masahiro SHINDO, Koki KIKUCHI, Motion Analysis of Pitch Rotation Mechanism for Posture Control of Butterfly-style Flapping Robot,American Transactions on Engineering & Applied Sciences, Vol.3(4), pp.251-263, (2014). (2) 藤川太郎,進藤匡浩,栗林祐太,菊池耕生,リード・ラグ運動の違いにおける蝶型はばたきロボットの飛翔解析, 日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会'14, 2A1-G04, (2014). (3) 栗林祐太,進藤匡浩,藤川太郎,菊池耕生,蝶型はばたき飛行ロボットに関する研究―リード・ラグ運動による旋回手法の提案―, 日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会'14, 2A2-F01, (2014). 0 ms 5 ms 13 ms 21 ms 27 ms 37 ms 44 ms 52 ms 58 ms 0 ms 5 ms 13 ms 21 ms 27 ms 37 ms 44 ms 52 ms 58 ms 422015 千葉工業大学附属研究所 プロジェクト研究年報 Project Report of Research Institute of C.I.T 2015
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