千葉工業大学 プロジェクト研究年報 2015年版
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研究項目: 科研費申請準備支援助成金 研究期間: 2014/4/1 ~ 2015/3/31 研究課題名(和文): 蝶型はばたき飛行における受動的姿勢安定化のための渦挙動の解明 研究課題名(英文): Analysis of Vortex for Passive Attitude Stabilization of a Butterfly-style Flapping Flight 研究者: ○菊池 耕生 千葉工業大学 Kikuchi Koki 工学部 未来ロボティクス学科 教授 1. はじめに 本研究では,蝶型のはばたき飛翔メカニズムの解明とそれを実装した小型はばたきロボットの実現を目指している.「飛ぶ」を実現する方法は多種多様であるが,その飛行特性は主に機体のサイズによって決まる.cmサイズの昆虫が利用する「はばたき」は,垂直離着陸,ホバリング,急旋回,狭隘空間での飛翔が可能であり,飛行ロボットとしての利便性が高い.このような高い運動性能の実現には翅周りで生成される剥離渦が関与していることが知られており,この剥離渦の挙動を明らかにすることが小型はばたきロボットの開発のカギとなる.本研究では,渦の挙動を数値解析することによってはばたき飛翔のメカニズムを明らかにし,これを実装した小型はばたきロボットを開発する(1)-(3).ここでは,はばたき周波数が10Hz程度と低く,正方形に近い(アスペクト比の低い)翅をもつ蝶型のはばたき飛翔に着目する.ロール姿勢の回復プロセスを撮影した映像から流れ場を数値解析し,これを可視化することにより渦の挙動を明らかにする. 2.流体計算による流れ場の可視化 蝶の撮影空間の座標系を図1に,流体計算空間を図2に示す.高速度カメラにより三方向から撮影した蝶の翅の位置,速度を画像処理により計算し,これらを境界条件として流れ場を計算し,可視化を行う.流体計算においては,左右の翅の打ち付けによる計算空間の変形を扱うため,非構造格子の生成に有利な有限要素法(FEM)を用いて,3次元,非圧縮,粘性,非定常として連続の式とNavier-Stokes方程式を解く.尚,翅境界の移動のためにALE法,高速化のために圧力と流速を分離して解くSMAC法,計算の安定化のためにSUPG法を採用した(詳細は発表論文[1]を参照されたい). x-y camera y-zcamerax-zcameraxyz 図1 蝶の撮影範囲と座標系 bodyvv bodywwbodyww 0Pbodyvv bodyuucalUU Z Y X 図2 流体計算における境界条件(発表論文1) 図3 ロール姿勢回復の様子(発表論文1) 412015 千葉工業大学附属研究所 プロジェクト研究年報          Project Report of Research Institute of C.I.T 2015    

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