千葉工業大学 プロジェクト研究年報 2015年版
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研究項目: 科研費申請準備支援助成金 研究期間: 2014/4/1 ~ 2015/3/31 研究課題名(和文): 視距離による建築外装材の見え方の変化 - 市街地を対象とした景観デザインのための基礎研究- 研究課題名(英文): The change of appearance of building exterior facing materials based on the distance from the watching object - Basic research for landscape design on the city area - 研究者: ○白石 光昭 千葉工業大学 SHIRAISHI Mitsuaki 工学部 デザイン科学科 教授 1. 研究の目的 街路の景観に関しては、景観条例において建物の色彩の色相・明度・彩度それぞれの細かな規定が、用途地域ごとに設けられている市町村が多くみられる。そして、このような景観条例等の成立の経過を踏まえ、景観に対する住民の意識は高くなってきたと考えられる。 一方、多くの景観条例では建物の外装材の色彩以外に関する規定は大まかな記述程度のものが多く、街路景観における具体的な外装材の選定について記述している条例は数少ない。 また、どのような外装材が多く使われているか、それらが街路景観にどのような印象をもたらしているかについて調べた研究は少ない。 本研究では、実際の街路で主に使われている外装材を対象に、外装材が街路景観においてどのような見え方をするのか(視距離と見え方の変化の関係)を調査した。 なお、本研究で対象とする街路は、東京都心から30~40 分程度に位置する駅周辺地域(ベッドタウンと呼ばれる地域)の通りとした。なお、駅近辺の店舗が立ち並ぶ通りは、店舗名や店舗の販売内容により外装材が選定される場合もあり、一般的な建物の外装材選定とは異なることもあるため、対象外とした。 2.調査方法 実際に建物を見る状況を想定し、対象の建物と反対側の歩道から建物の外装材を見てもらうこととした。 対象の通りはF市本町2 丁目とし、通りの中で外装材として使用される傾向が高い「小口タイル」「塗装」の建物を選定した。これに加え、素材感に特徴のある「煉瓦」の建物も見え方の変化にどのような結果が表れるのかを調査す る(図1)。 また、実際に歩道を歩いてもらうことで建物との視距離を変化させた。建物との視距離を対角線上で最大30m とし、最小15m とした(図2)。これは既往研究により、30m以上離れると全体色の区別しかできないとの結果をもとにしている。また、予備調査の結果から15m以内ではほとんど見え方の変化がなかったことによる。 既往研究およびこれまでに行った実態調査から外装材の見え方に関する言葉や表面を表す言葉としてa ~ g まで の項目を選定した(図3)。被験者(学生31名:男子19名、女子12名、被験者の視力(矯正含)は1.0程度)に、外装材の見え方が変化した際に、どのような部分で変化が感じられたかについて、これら7つの項目から回答してもらい、これ以外の場合は自由記述とした(複数回答可)。 3.調査結果 タイル・塗装・煉瓦それぞれの外装材に対し、被験者が建物からどのくらい離れた視距離で外装材の見え方に変化図1 調査対象建築物 図2 調査方法 図3 調査項目 352015 千葉工業大学附属研究所 プロジェクト研究年報          Project Report of Research Institute of C.I.T 2015    

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