千葉工業大学 プロジェクト研究年報 2015年版
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研究項目: 科研費申請準備支援助成金 研究期間: 2014/4/1 ~ 2015/3/31 研究課題名(和文): 創薬基盤の確立を目指した人工核酸とタンパク質の相互作用の解析 研究者: ○坂本 泰一 千葉工業大学 SAKAMOTO Taiichi 工学部 生命環境科学科 教授 1. はじめに 近年,抗体や核酸などの生体高分子が医薬品として利用されており,次世代型分子標的薬として製薬会社で研究・開発が進められている.医薬品として使用されている核酸は,試験管内人工進化法(SELEX法)と呼ばれる方法によって作製されており,アプタマーと呼ばれている(図1).アプタマーは,標的分子に非常に強く結合することによって標的分子の機能を抑える.また,非常に特異性が高いため,副作用が起きにくいという特徴を持つ.しかし,その結合メカニズムは,ほとんど明らかになっていない. 図1 アプタマーによる標的タンパク質の機能阻害 SELEX法は,1014程度の核酸ライブラリの作成,標的分子に結合する核酸分子の選別と,選別された核酸分子の増幅のステップからなる.この選別の際に標的分子との結合条件を厳しくして選別と増幅を繰り返すことによって,標的分子に非常に強く結合するアプタマーを得ることができる.しかし,どの標的分子に対しても必ず医薬品として有効なアプタマーが取得される訳ではなく,現在も実験手法の改良が進められている.低分子医薬品の開発において,構造生物学的研究と物理化学的な研究が必須になっているのと同様に,今後の核酸医薬品の開発においても構造生物学的研究と物理化学的な研究は必須であると考えている.本研究では,アプタマーと標的分子の相互作用を明らかにし,核酸創薬のための構造生物学および物理化学の基盤を確立する.また,構造生物学的な知見と物理化学的な知見に加えて,RNA建築学の手法を有機的に組み合わせることによって,アプタマーを高機能化することを目的としている. 図2 SELEX法の概要 私たちは,転写因子としてAML1タンパク質に着目し,このタンパク質のRunt domain に結合する人工RNA(Apt1-S;252015 千葉工業大学附属研究所 プロジェクト研究年報          Project Report of Research Institute of C.I.T 2015    

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