千葉工業大学 プロジェクト研究年報 2015年版
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研究項目: 科研費申請準備支援助成金 研究期間: 2014/4/1 ~ 2015/3/31 研究課題名(和文): パワーデバイス用化合物半導体結晶品質向上 研究課題名(英文): Improvement of crystal quality on compound semiconductor for power devices 研究者: ○山本 秀和 千葉工業大学 YAMAMOTO Hidekazu 工学部 電気電子情報工学科 教授 1.はじめに 現状パワーデバイスはSiを用いて製造されているが,性能向上は限界に近づいてきたと言われ始めている.そのため,パワーデバイスとして優位な物性値を有するSiCが期待されている. 一方,SiCパワーデバイスの製造プロセスの課題に1700℃以上の活性化高温熱処理がある.本研究では,SiCウエハへのレーザーアニール適用による結晶性への影響についてラマン分光法を用いて評価した.その結果,レーザーアニールがイオン注入したSiCの結晶性回復に非常に有効であることが判明したので報告する. 2.実験方法 実験に用いたSiCウエハは,n型エピタキシャルウエハである.アンドープSiC,500℃ Al注入SiC,室温 V注入SiCの3種類のウエハを評価した.Alのイオン注入は,50~280 keVの注入エネルギーで行い,トータルドーズ量は4.4E+15 cm-2である.Vのイオン注入は,50~700 keVの注入エネルギーで行い,トータルドーズ量は6.9 E+15 cm-2である. レーザーアニールは,スクリーンセミコンダクターソリューション社製のLT-3000を用いて実施した.レーザー光源には,波長308 nmのXeClレーザーを用いた.各ウエハにおいて,エネルギーを変化させてレーザーアニールを実施した.アンドープSiCウエハでは,2.5~4.0 J/cm2の範囲でレーザーエネルギー密度を変化させた.Al注入SiCウエハでは,0.8~3.5 J/cm2の範囲でレーザーエネルギー密度を変化させた.V注入SiCウエハでは,0.9 J/cm2と2.0 J/cm2の2条件でレーザーアニールを実施した. SiCの結晶性は,ラマン分光分析法により評価した.ラマン分光分析には,東京インスツルメント社製のNanofinder30を用いた.レーザー光源の波長は532 nmである. 3.結果および考察 3.1 アンドープSiCの評価 図1は,アンドープSiCにおいてエネルギーを変化させてレーザーアニールを行った場合のラマンスペクトルである.ラマン散乱強度は,776 cm-1の値で規格化している.いずれの場合も結晶性は良好である. 図2には,ラマン散乱強度を示した.レーザーエネルギー3.2 J/cm2以上で散乱強度が減少しているが,これはウエハ表面に炭素層が形成されたためだと考えられる1). 図1 アンドープSiCウエハのラマンスペクトル 図2 アンドープSiCウエハのラマン散乱強度 232015 千葉工業大学附属研究所 プロジェクト研究年報          Project Report of Research Institute of C.I.T 2015    

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