千葉工業大学 プロジェクト研究年報 2015年版
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研究項目: 科研費申請準備支援助成金 研究期間: 2014/4/1 ~ 2015/3/31 研究課題名(和文): 児童見守り支援システムのための高度な児童モデルに基づく児童行動シミュレーション環境の構築 研究課題名(英文): Construction of simulation environment for support system of watching over children using a sophisticated model of children 研究者: 今野 将 千葉工業大学 KONNO Susumu 工学部 電気電子情報工学科 教授 1.はじめに 近年,児童の安全を確保するために,GPS 機能付き携帯電話やRFID 等から取得される児童の位置情報を用いて,児童の行動に関する情報を提供する「児童行動情報提供サービス」, およびその情報を用いた「児童見守り支援システム」が多くの企業・大学・研究機関などで提案・開発されている.これらのサービスやシステムは,昨今の社会情勢などもあいまって,そのニーズおよび重要性が高まっている.総務省の定義によればこれら児童見守り支援システムは,大きく分けて1) 連絡・情報提供機能,2) 登下校確認機能,3) 通過確認機能,4) 状態把握機能,5) 危険通報機能の5 つの機能に分類される.これらの機能のうち,本論文では4) 状態把握機能に着目し,高度化を図る. 現状の4) 状態把握機能の多くは,携帯型端末で取得された児童の現在位置を地図上に表示する機能や,2) や3) の機能と連携してRFID 等の電子タグを使用して児童が登校したときや下校したとき,または駅の改札を通過した時に保護者にメールで通知する機能が提案・実現されており,地方自治体や民間企業によるサービスも提供されている.しかし,現状の児童見守り支援システムは,通学路のポイントの通過時にオンデマンドで保護者に知らせるといったシステムがほとんどであり,児童の現在位置しか知ることができない.そのため,児童の見守りに関する情報が少ないため,保護者の児童の安全への対処行動(児童のもつ携帯電話に確認の電話をする.警察や警備会社に通報するなどの行動)が多くなり,システム自体の信頼性が低下してしまうといった問題が発生している. 我々はこれらの問題が4) 状態把握機能が提供する情報量が不足しているためと考え,Sotto と呼ばれる地域情報と行動履歴を用いた児童の目的地の推定機能を導入した児童見守りシステムを研究・開発している.Sotto は,状態把握機能の高度化を図るものであり,児童の位置情報を提示するだけでなく,児童の行動履歴や児童が好む施設やイベントなどの様々な情報を用いることにより,児童の行動目的や目的地を推定し,保護者に提示することが可能となる.具体例として,児童が下校途中に欲しい本の発売日であったために書店に立ち寄った場合,従来の見守りシステムでは書店にいるということしかわからないが,Sotto を用いることにより欲しい本の発売日であったために書店に立ち寄ったことが推定できるため,保護者の安心感が向上できるという特徴がある. これまでSottoでは目的地推定の高度化(高精度化)を目指して研究・開発を行ってきた.しかしながら,その機能の実証実験にあたり単純な児童モデルに基づくシミュレーションを用いており,正確性の点で大きな課題となっていた.だが,Sottoのような児童の行動推定実験を実環境で行おうとした場合,特に既存の目的地推定手法の実証実験を行う際に,多くの児童や保護者の長期的な協力が必要であり現実的ではない.そのため,現状のSottoでは単純なシミュレーションでのみの検証となってしまっている.そこで本研究では,詳細な児童モデルを定義し,Sottoにおける高度な児童行動シミュレーションを実現することをOutputcurrent position,current timeregional informationpremises information, event informationInputmovement history informationmovement history basedestimate destination modulevisited the premises history basedestimate destination moduleparticipated in the event history basedestimate destination moduleestimation output moduleestimated destinationsGPSGPS図1: Sottoの概要 192015 千葉工業大学附属研究所 プロジェクト研究年報          Project Report of Research Institute of C.I.T 2015    

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