千葉工業大学 プロジェクト研究年報 2015年版
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研究項目: 科研費申請準備支援助成金 研究期間: 2014/4/1 ~ 2015/3/31 研究課題名(和文): 3次元移動物体に対する磁気共鳴方式を用いた無線電力伝送に関する研究 研究課題名(英文): Study on Wireless Power Transfer for Moving 3D Object using Magnetic Resonance 研究者: 相知 政司 千葉工業大学 OHCHI Masashi 工学部 電気電子情報工学科 教授 1. はじめに 2007 年にMITより発表された無線電力伝送技術に関する論文(1)では,「磁界共振結合」方式を用いて,2 mの距離で50 %の高い効率で電力伝送が実現した。この技術を応用することにより,携帯機器や電気自動車用充電装置などへの応用が期待される。 現在,多くの企業や研究機関で無線電力伝送技術に関する研究・開発(2) (3)が進められている。 しかし,共振周波数と回路形式の選定については,まだ十分な検討がなされたとは言えない。そこで我々は,3次元移動物体への無線電力伝送に有効な回路を検討する目的で,回路形式の共振周波数-出力電力特性を比較し,各回路形式の特徴を明らかにすることにした。 さらに,3次元移動物体への無線電力伝送時に,問題となる送電側コイル背面に金属板が存在する場合に,システム全体の効率にどのような影響があるのかを実験により検討した。 2. 無線電力伝送システムの回路形式の検討 2.1 無線電力伝送システムの回路形式 本研究で検討した回路形式を図1に示す。同図(a)は送電側コイルを20回巻き,受電側コイルも20回巻きとして基本形と呼ぶ。同図(b)は,送電側コイルを1回巻きと19回巻きに分割し,19回巻きコイルにコンデンサを接続し,送電側分割と呼ぶ。同図(c)は,受電側コイルを1回巻きと19回巻きに分割し,19回巻きコイルに負荷を接続し,受電側分離と呼ぶ。 まず,3次元電磁界解析を用いて,送電側コイルと受電側コイルを含む回路網のZ行列を計算する。その後,Z行列を利用し,交流回路計算によって共振周波数-出力電力特性を求める。共振周波数は,以下の(1)式で定義できる。 22 ・・・(1) ここで,は送電側コイルの自己インダクタンス,は送電側に接続するコンデンサの静電容量,は受電側コイルの自己インダクタンス,は送電側に接続するコンデンサの静電容量である。 入力電圧 1V,負荷抵抗 100Ωに設定している。送受電コイルの図1(a)に示した基本形回路の寸法を表1に示す。送電側コイル(Tx side),受電側コイル(Rx side)の両方とも,導線の直径は0.6mmである。また,両方のコイルの直径を140mmとし,コイル間距離はコイル直径の2倍である280mmで一定とした。本条件で,周波数を1~6 MHzまで変化させ,共振周波数と事前に計算したコイルの自己インダクタンスとから,(1)式を用いて静電容量とを決定した。 図1 無線電力伝送システムの回路形式 表1 送電側,受電側コイルの寸法 Tx side Rx side Number of turns (Total) 20 20 Wire diameter 0.6 mm 0.6 mm Coil diameter 140 mm 140 mm Distance between coils 280 172015 千葉工業大学附属研究所 プロジェクト研究年報          Project Report of Research Institute of C.I.T 2015    

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