千葉工業大学 プロジェクト研究年報 2015年版
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研究項目: 科研費申請準備支援助成金 研究期間: 2014/4/1 ~ 2015/3/31 研究課題名(和文): AFMを用いた研磨加工素過程とナノ・マイクロ加工の研究 研究課題名(英文): Study on Fundamental Characteristics of Polishing and Nano-micro processing with Atomic Force Microscope 研究者: 〇松井 伸介 千葉工業大学 MATSUI Shinsuke 工学部 機械サイエンス学科 教授 1.はじめに 研磨技術の高度化は現在、重要な課題となっている.1例を示せば、大規模、高速化するCPU等の半導体デバイスの多層配線層の研磨、大面積化するLCD,シリコン基板の研磨技術、高機能化するMEMSデバイスの基板研磨技術に対して、その品質を悪化させず、高速・低コストに加工する新研磨技術が必要である。また、金属等の異種材料を含む基板上面の平坦化研磨加工も必須の加工工程となっている。 しかし研磨技術は、非常に多数の切れ刃が関連する加工技術でまだわかっていないことが多い。そこでまず、ナノ切れ刃である微細砥粒と基板の槢動の素過程を切り出し検討した。最も重要であるこの過程とその他の過程を分離しそれぞれを分析することで、研磨技術全体を理解することを図った。そしてこれによって得られた知識をもとに研磨技術を高度化することが本研究の目的である。 2.研究の方法 AFMの触針を研磨技術における砥粒の非常に小さいナノ切れ刃と見立てる。そしてAFMシステムでスクラッチ加工することによってその加工特性を評価して研磨の素過程の検討をした。AFMシステムを用いることで、加工荷重と切れ刃軌跡を容易に制御できる。図1にAFMナノスクラッチ加工ユニットの概念図を示す。加工は液中で行い、砥粒をスラリーとして用いる研磨技術と同等の雰囲気となっている。これによって、雰囲気の化学成分を変化させたり、さらに触針材質を変化させたりして、切れ刃が小さくなると顕著になるといわれている加工における化学的側面の検討もできるようにした。AFMスクラッチ加工は、石英製であるシングルモード光ファイバ端面のコア(直径20μm)を含む50 µm四方で行った。図2に光ファイバ端面へのナノスクラッチ加工の概念図を示す。用いたAFMはカンチレバーの高さ測定を臨界角法で行っており、この測定用の顕微鏡対物レンズを用いて加工位置を同定することができる。スクラッチ加工後に端面からの反射光に相当する反射減衰量を測定することにより加工によって発生した加工変質層 図1 AFMナノスクラッチ加工ユニットの概念図 図2 光ファイバ端面のナノスクラッチ加工 の評価が行える。準備したAFM触針材質は、ダイヤモンド、酸化ケイ素(シリカ)、酸化セリウム、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、酸化アルミニウム(アルミナ)である。また、触針の先端曲率は、ダイヤモンド触針で100 nm、他の材質触針では、200 nmである。スクラッチ加工は、50μNの荷重をかけ、50μm四方をピッチ50 nm、1ライン1秒で行った。152015 千葉工業大学附属研究所 プロジェクト研究年報          Project Report of Research Institute of C.I.T 2015    

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