千葉工業大学 プロジェクト研究年報 2015年版
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研究項目: 科研費申請準備支援助成金 研究期間: 2014/4/1 ~ 2015/3/31 研究課題名(和文): バイオエタノール・天然ガスを燃料とする副室式予混合圧縮着火燃焼機関の研究 研究課題名(英文): A Study on a Pre-chamber HCCI Engine Fueled with Bio-ethanol or Natural Gas 研究者: ○佐々木 洋士 千葉工業大学 SASAKI Hiroshi 工学部 機械サイエンス学科 教授 1.まえがき 内燃機関は現代社会において, 自動車を始めとして多方面に用いられ,産業活動,我々の生活に欠くことはできないものとなっている.しかし,内燃機関の大量普及に伴い,CO2による地球温暖化,NOx,PM等の有害物質による大気汚染などの環境問題,化石燃料の大量消費等のエネルギ問題等,課題が多くある. これらは燃焼の改善や新燃焼方式の採用などによって,まず機関本体から解決を図ることが第一である.また,天然ガスやバイオエタノールはCO2の排出が少なく,将来の燃料として期待されているが,現状ではともに熱効率の低い火花点火機関に使用され,CO2の排出が少ない利点が十分には生かされていない. 近年, 予混合圧縮着火燃焼(HCCI)が低公害, 低燃費を両立する燃焼方式として注目されている. この燃焼方式の利点は,高圧縮比が可能なためディーゼル機関並みの高い熱効率が期待でき,希薄混合気の燃焼が可能で,NOx,スモークの同時低減が可能なことが挙げられる.しかし, HC, COの排出が多い,ノッキングの発生のため運転が低負荷に限られる, 着火時期の制御が困難などが欠点である. これまでに, これらの欠点を解決する方法として燃焼室副室式とし, 副室で着火, 燃焼を開始し, その燃焼ガスで主室の混合気を, 通常のHCCI機関と同様の燃焼を誘発させる方法で多段燃焼を行う新しいコンセプトの予混合圧縮着火燃焼方式を提案し, このコンセプトの燃焼が実現でき,高負荷まで運転が可能なことが明らかになっている (1)~(3).しかし,回転速度800rpm,6サイクル毎に1回のスキップサイクル法での燃焼の確認に止まり,実用回転域での機関性能,排気特性については未確認である.そこで,本研究では,副室式予混合圧縮着火機関において,本コンセプトの燃焼が行われるときの機関性能, 排ガス特性, 燃焼特性について調査し,天然ガスやバイオエタノールが使用でき,高効率,低排ガスを達成する条件を明らかにすることを目的とする. 2.多段燃焼を行うHCCI機関の燃焼コンセプト 多段燃焼を行う副室式予混合圧縮着火機関の燃焼コンセプトは以下のとおりである.(1)吸気行程において吸気管内に燃料を噴射し,シリンダ内に予混合気を形成する.(2)適切な時期に, 副室内に燃料を噴射する.(3)上死点近傍で副室内で先に着火, 燃焼を行われる. (4)副室の燃焼ガスにより, 主室では,通常のHCCIと同様の二等辺三角形状となる熱発生パターンとなる燃焼が行われる(1)~(3). 3.実験装置および方法 供試機関は単気筒横型水冷4サイクル直接噴射ディーゼル機関(シリンダ直径96mm,行程105mm,排気量760cm3)のポート入口にガソリン機関用の燃料噴射弁を取り付けてHCCI機関とした.また,シリンダヘッドの燃料噴射ノズルの取り付け部を改造し,そこに副室を取り付け,副室式図1 燃焼室の構造 72015 千葉工業大学附属研究所 プロジェクト研究年報          Project Report of Research Institute of C.I.T 2015    

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