千葉工業大学 プロジェクト研究年報 2015年版
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研究項目: 科学研究費(基盤研究(C)) 研究期間: 2014/4/1 ~ 2015/3/31 研究課題名(和文): 地域・季節に配慮した健康照明環境の実設計に向けた提案 研究課題名(英文): Proposal of healthy lighting environment considering region and season 研究者: ○望月 悦子 千葉工業大学 MOCHIZUKI Etsuko 工学部 建築都市環境学科 教授 辰元 宗人 獨協医科大学 TATSUMOTO Muneto 医学部 神経内科 准教授 村江 行忠 戸田建設株式会社 MURAE Yukitada 技術開発センター 環境創造ユニット 主管 1. はじめに 体温やホルモン分泌などのサーカディアン・リズムの調整には、一日の光曝露履歴が関係することが知られている。中でも、睡眠を司るとされるメラトニン分泌のサーカディアン・リズムの観点から、ドイツ工業規格DINは、室の用途ごとに推奨される一日の照度・色温度の曝露パターンを提案している1)。しかし、同じ時刻(中央標準時)であっても場所によって真太陽時は最大2時間程度も差がある。本来、人間は太陽の動きと連動してサーカディアン・リズムの調整を図っているが、社会的要因によって本来のリズムとは若干乖離したスケジュールに同調させざるを得ないのが現状である。DINが推奨した照明条件は、地域・季節によらず、照度・色温度のみで一律に規定されているが、太陽の動きと連動したよりスムーズなサーカディアン・リズムの調整を促すためには、季節や地域などによる違いを考慮する必要があると考える。 本研究では、睡眠リズムと睡眠感の地域・季節による違いを明らかにした上で、サーカディアン・リズムの観点から居住地域に応じた、一日を通した最適な照明条件を明らかにすることを目的としている。2014年度は、調査方法の確立を目的に、一施設にて一ヶ月間に渡り、睡眠実態のモニタリング調査を実施した。 2.調査概要 (1)調査対象・期間 調査は2014年秋から2015年秋の1年間に4季節、3施設(栃木・東京・福岡)で実施予定である。光環境以外の社会的因子によるサーカディアン・リズム同調への影響を極力避けるため、地域ごとに同じ施設に居住し、似通ったスケジュールで生活する被験者を調査対象とした。 調査に先駆け2014年度は、D大学(栃木)の看護師寮にて2014年11月に4週間に渡って予備調査を実施した。調査対象室は図1に示す通りである。寝室の照明は、電球色ダウンライト(以下、DL)と昼白色シーリングライト(以下、CL)の2条件であった。今回は東面に窓を有する24室(DL: 6室、CL: 18室)、西面に窓を有する22室(DL: 7室、CL: 15室)に居住する46名(10代4名・20代39名・30代2名・50代1名、全員女性、学生24名・看護師22名)を調査対象とした。 (2)調査項目 表1に調査項目を示す。被験者が在室中の曝露光環境をおよそ把握するため、各室の窓際机上面に温湿度・照度ロガー(T&D TR-74Ui)を設置した。また、被験者には就床中、睡眠計(OMRON HSL-002C)を枕元に設置し、睡眠状態を記録してもらった。他、睡眠に関するアンケート調査用紙は指定した日に回答してもらった。データの一部欠測、アンケート未回答もあったため、データ回収数は表1中に示す通りである。睡眠時間の記録は、データ回収できた39名中3名が欠測であり、最大33日間、最低1日間のデータ回収状況であった。 図1 調査実験室平面図 温湿度・照度ロガー T&D TR-74Ui 睡眠計 OMRON HSL-002C 1352015 千葉工業大学附属研究所 プロジェクト研究年報          Project Report of Research Institute of C.I.T 2015    

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