千葉工業大学 プロジェクト研究年報 2015年版
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研究項目: 科学研究費(基盤研究(B)) 研究期間: 2012/4/1 ~ 2015/3/31 研究課題名(和文): マウス細胞内に存在する低分子RNAの高次構造に基づく網羅的解析 研究課題名(英文): Structure-based exhaustive analysis of small RNAs in mouse 研究者: ○河合 剛太 千葉工業大学 KAWAI Gota 工学部 生命環境科学科 教授 清澤 秀孔 高知大学 KIYOSAWA Hidenori 医学部 環境医学教室 特任准教授 牛田 千里 弘前大学 USHIDA Chisato 農学生命科学部 分子生命科学科 准教授 1.はじめに 本研究計画の研究分担者である清澤らは,哺乳動物における内在性のアンチセンス/非翻訳性RNA(non-coding RNA;ncRNA)を研究中に新しい一群の低分子RNA(miRNAやsiRNAよりは少し大きめの50-100ヌクレオチド[nt]程度)を発見した.これらRNAは始めから50-100ntとして転写されたとは考えにくく,プライマリー転写産物からプロセスされ,細胞内で安定的に存在するために立体構造を形成し,特定のタンパク質に結合していると考えられ,生命活動に非常に重要な役割を担っていることが予想されている. このような新規低分子RNAの機能の解明をめざし,清澤を中心として,同じく本研究計画の研究分担者である牛田および研究代表者の河合の3名で,新学術領域研究(課題提案型)「マウス細胞内に普遍的に存在する50-100ヌクレオチド低分子RNAの多角的解析」(平成21~23年度)をスタートさせた.このプロジェクトでは,遺伝学的アプローチ,生化学的アプローチ,構造生物学的アプローチを駆使して,マウス由来の新規低分子RNAの解析を進めている. 本研プロジェクトは,このアプローチを基本にしつつも,高次構造に基づく網羅的な解析を中心とした解析を強力に推進することをめざして実施した. 2.研究成果 本プロジェクトでは,遺伝学的,生化学的,および構造生物学的アプローチを駆使して,マウス由来の新規低分子RNAの解析を進めた. (1)低分子RNA候補の二次構造解析とクラスタリング マウスの脳に由来するRNAおよびマウスのES細胞に由来するRNAについて次世代シーケンサーによる配列解析を行うことによって得られた配列データを用い,二次構造に基づくクラスタリングを進めている.脳については約1億配列,ES細胞については約6千億配列が得られている.脳に由来するデータについては,解析をほぼ完了し,16個の新規低分子RNA候補を見出した(発表論文1,表).なお,これらの新規RNAをMsncR(mouse structured non-coding RNAに由来)と呼ぶこととした. 表 プロジェクトで発見した低分子RNA RNA名 構造パターン (stem-level) 配列数 鎖長 MsncR-1 2-2 2900 66 MsncR-2 3-3 2300 125 MsncR-3A 2-1 492 40 MsncR-3B 2-1 13 43 MsncR-4 2-2 256 83 MsncR-5 3-2 217 99 MsncR-6 4-2 216 119 MsncR-7 2-2 190 97 MsncR-8 2-2 102 93 MsncR-9 4-3 100 130 MsncR-10 5-2 88 113 MsncR-11 3-2 46 90 MsncR-12 2-2 42 111 MsncR-13 2-2 36 86 MsncR-14 3-1 27 74 MsncR-15 3-2 24 93 MsncR-16 1-1 17 43 2015 千葉工業大学附属研究所 プロジェクト研究年報          Project Report of Research Institute of C.I.T 2015    131

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