千葉工業大学 プロジェクト研究年報 2015年版
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研究項目: 科学研究費(基盤研究(C)) 研究期間: 2014/4/1 ~ 2015/3/31 研究課題名(和文): 実用的な多機能型筋電義手制御システムの開発 研究課題名(英文): Development of Practical Multifunctional Myoelectric Hand Control System 研究者: ○関 弘和 千葉工業大学 SEKI Hirokazu 工学部 電気電子情報工学科 教授 1. はじめに 本研究は,ヒトの前腕部運動時に筋線維から発生される筋電位信号によるロバストな動作パターン認識法に基づく実用的筋電義手制御システムの開発を目指す.筋電義手はこれまでにも研究開発の事例はあるが,ほとんど考慮されてこなかったいくつかの問題を解決することにより,実用的な筋電義手制御システムを開発する.本稿で検討する1つ目の課題は,前腕部動作の高精度識別法の開発であり,特に肩や肘の姿勢変動に対するロバストな動作認識である.また2つ目として,実際の義手制御時における負荷や筋疲労等の及ぼす影響も検討する. 2.筋電位信号と筋電義手制御システム 筋繊維の内側と外側では約20mVの電位差がある.筋繊維は脳から発せられた命令を神経から電気信号として受け取ると,筋繊維の細胞膜は脱分極を起こし,細胞の内側と外側の電位が逆転する.これを活動電位と呼ぶが,筋繊維に沿って双方向に伝搬する性質があり,双方向に伝搬する活動電位を測定したものを筋電位と呼ぶ.本研究では人体に対して侵襲性がない表面筋電図法で測定を行う.電極を測定箇所に貼り付けた様子を図1左に示す. 図1 筋電位測定 測定位置は図1右のように右前腕部周りの45度間隔の8CH分とする.これは手のひらや手首の動作が,主に手首から肘の間にある総指伸筋,浅指屈筋,橈側手根屈筋,尺側手根屈筋,腕橈骨筋などを使用するためである. また,筋電義手制御システムの実験装置を図2に示す.Ottobock社製の義手装置,ならびにエムティティ株式会社性コントローラ「iBIS」等により構成されており,ノートPCによりリアルタイム制御を行うことが可能である. 図2 筋電義手制御装置と実験の様子 3.肩・肘姿勢角度変化を考慮した動作認識手法 コップを持ったりドアを開けたりという日常生活における様々な動作においては,図4に示すような肩や肘の姿勢変化も伴う.その際には筋電位信号が変化することがあり,ある特定の姿勢時のみを学習データとするだけでは誤認識が起きやすく,これに対応する認識手法が必要となる. 図3 肩・肘姿勢角度変化 1292015 千葉工業大学附属研究所 プロジェクト研究年報          Project Report of Research Institute of C.I.T 2015    

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