千葉工業大学 プロジェクト研究年報 2015年版
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研究項目: 科研費申請準備支援助成金 研究期間: 2014/4/1 ~ 2015/3/31 研究課題名(和文): ジャイロミル型風車に関する研究 研究課題名(英文): Study on Gyromill-Type Wind turbine 研究者: ○江尻 英治 千葉工業大学 EJIRI Eiji 工学部 機械サイエンス学科 教授 1. はじめに 風力発電は,太陽光発電とともに今後の発展が期待される重要な再生可能エネルギーのひとつと位置づけられている.現在,風力発電に用いられている風車は,主にプロペラによる大出力の水平軸風車であり,すでに日本各地のウィンドファームなどで多数が稼働している.一方で,小出力の垂直軸風車は風向依存性がないため,日本のような平地が少なく風向変化の激しい地域にむしろ適しているといえる.その中でジャイロミル型風車は,起動トルクが大きくて騒音が少なく,鳥などの小動物の巻き込みが少ないため,都市部での発電装置として実用化が期待されている(1). ジャイロミル型風車は,プロペラ型などの水平軸風車と比較して研究開発の歴史が浅く使用実績も少ないため,効率向上の余地が多く残されている.効率向上は今後の普及のために必要不可欠であるが,そのためには風車羽根車まわりの流れを数値解析することは有用である.垂直軸風車は,水平軸風車と異なり,羽根車まわりの流れは基本的に非定常となるため難度が高く,計算実施例は多くない(2).本研究では,ジャイロミル型風車羽根車のパワー係数(=効率)に着目し,その翼回転に伴う過渡特性について調査した.さらに,その結果を踏まえて,今後の効率向上のための指針を明らかにした. 2. 羽根車まわりの流れの数値解析 2.1 供試羽根車 本研究で使用した風車羽根車の概略形状を図1に示す.羽根車の軸長はL=300mm,直径はD=330mm,翼枚数は2で,翼型はNACA0012(対称翼),翼弦長はC=124mmである.翼取付け部にはスリットが設けてあり,取付け角θ=0°~40°の範囲で調整可能となっている. 風車の性能は,以下の式で表される周速比λとパワー係数Cpで評価される.ρは空気の密度,ωは羽根車の回転角速度,Tは軸トルク,Vは一様風速である. λ=V/(rω)・・・・・・・・・・・(1) Cp=Tω/(1/2∙ρDLV3) ・・・・・・(2) 風速V=4m/sで測定された本風車の特性曲線を図2に示す. 羽根車の直径Dと周速度rωに基づく典型的なレイノルズ数はおよそRe=3.3×104となる.計算点として,θ=15°でCpが最大となるλ=1.08を選んだ. 2.2 数値解析の方法 二次元の非定常流れの計算には,有限体積法によるはん用熱流体解析ソフトウェアSCRYU/Tetra V. 10を用いた.このソフトウェアで連続の式とレイノルズ平均されたNavier-Stokes方程式(RANS)が解かれるが,乱流モデルは標準k-εモデルを用いた.計算領域は羽根車の上流・下流に十分な領域を確保し,格子数は3.32×106とした.羽根車まわりの計算格子のみを図3に示す. 図1 ジャイロミル風車羽根車の概略形状 図2供試風車の特性曲線 図3 羽根車まわりの計算格子 V 32015 千葉工業大学附属研究所 プロジェクト研究年報          Project Report of Research Institute of C.I.T 2015    

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