千葉工業大学 プロジェクト研究年報 2015年版
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研究項目: フォーラム 研究期間: 2014/4/1 ~ 2015/3/31 研究課題名(和文): PBLによるエンジニアリングデザイン教育の実践 研究課題名(英文): Practical Education Program for Engineering Design by PBL 研究者: 谷本 茂明 千葉工業大学 TANIMOTO Shigeaki 社会システム科学部 プロジェクトマネジメント学科 教授 遠山 正朗 千葉工業大学 TOYAMA Masao 社会システム科学部 プロジェクトマネジメント学科 教授 加藤 和彦 千葉工業大学 KATO Kazuhiko 社会システム科学部 プロジェクトマネジメント学科 教授 鴻巣 努 千葉工業大学 KONOSU Tsutomu 社会システム科学部 プロジェクトマネジメント学科 教授 1. 研究の経過 平成25年度では,国際標準であるワシントンアコードを意識し,エンジニアリングデザイン教育としてのプロジェクトベース学習の実践のためのディスカッションおよび実践を通じた教育コンテンツの開発を行った.フォーラムでは,まずワシントンアコードにおける経営分野の基本的な考え方を理解するとともに,現在実行しているプログラムについて問題点を抽出した.学部開講科目である「プロジェクトマネジメント実験」および「プロジェクトマネジメント演習」において進捗に関するデータを取得し,どのフェーズで遅延が発生しやすいか,またその原因となる問題は何かを議論した.その結果,上流フェーズにおける知識共有の不十分さがあることが考えられたため,PBLの前提となる知識の供与について専門分野の異なる学生が無理なく参加できるよう必要なインストラクションの整備を行った.研究成果については,複数の学会および学内の研究会において発表を行った. 平成26年度ではより発展的なプログラムの開発を行うため,学生へのヒアリングによる問題点の抽出を行った.特に上流工程における問題については,ワークショップ開始の早い段階において状況を定量的に観察し,それぞれの学生にあったフォローアップを行うための仕組みが必要であると考え,EVMをベースとした最終成果物およびこれに対する個人の貢献度を視覚化する方法を整備した.また,プロジェクト全体としてではなく,そこに参加したすべての参加者の貢献度を時系列に観察するための定量化手法を開発した.これまでプロジェクトではコストと納期については継時的観察を行うためのツールは整備されているが,これらとあわせてプロジェクト成否の重要な判断基準となる品質及び顧客満足については継時的な観察は十分に行えてい ない.そこで品質基準と顧客満足基準の達成値を設定し,これらを定量的に観察する仕組みを検討した.また,本プログラムでは情報システム開発をベースとしているため,下流工程では開 発に関わる作業のウェイトが大きくなる.そこで,開発フェーズに おける役務分担の公平化を図るため,コーディング以外のタスク担当者の作業内容のガイドラインを設定した. 2. 知識共有の円滑化に関する試み 学生はさまざまな課題への取り組みを通じて,暗黙知,形式知を形成する.2年生が履修するプロジェクトマネジメント実験,3年生が履修するプロジェクトマネジメント演習においてもそれらは形成され,その一部はドキュメントとして閲覧可能な状態で実習室に保管されている.しかしながら,スコープ外と判断される事項についてはドキュメントに含まれないため,それらは蓄積されにくく,伝承されにくい傾向にある. 3年生,4年生に形成されている暗黙知,形式知を伝承することを意図し,2年生と,3年生,4年生が交流する場として,2年生に対してフィールドワークによる課題を与え,2年生がその課題を行う過程で3年生,4年生に対して助言を求めることができる環境を準備した. 3. PBLの最終成果物および個人の貢献に関する評価方法に関する提案 (1) 方法 調査対象となったPBLにおける7チームには,EVMによる進捗管理を行うことを求めた.計画値(PV:Planned Value)の算出にあたっては,WBSに基づいたワークパッケージ単位の工数を見積もり,教員が定めた人時単価によって金銭価値に変換したものをベースラインとした.コスト実績値(AC:Actual Cost) は履修者の作業記録に基づいて算出された.作業記録は個人単位に作業開始時刻および終了時刻,実行タスク,実施場所を記載することとし,ユーザミーティングにおいてユーザ役教員が妥当であるかの確認を行った.PVの算出と同様の人時単価によって金銭価値に変換した.出来高実績値(EV)の算出は,パーセントコンプリート法によることとした. 1252015 千葉工業大学附属研究所 プロジェクト研究年報          Project Report of Research Institute of C.I.T 2015    

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