千葉工業大学 プロジェクト研究年報 2015年版
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研究項目: 科研費採択者助成金(最終年度) 研究期間: 2014/4/1 ~ 2015/3/31 研究課題名(和文): 複合有機テンプレート法を用いた球状多孔質リン酸カルシウムの合成 研究課題名(英文): Fabrication of Porous Calcium Phosphate Spherical Particles Using Hybrid Organic Templates Method 研究者: ○柴田 裕史 千葉工業大学 SHIBATA Hirobumi 工学部 生命環境科学科 准教授 1. はじめに ハイドロキシアパタイト(HAp)に代表されるリン酸カルシウムは生物の骨を形成する主成分であり,自家骨と置換する生体適合性セラミックスとして良く知られている.また,タンパク質などの生体分子に対し高い吸着性を示す特徴も持つことが知られている.そのため,合成方法だけでなく,in vivoおよびin vitroにおける細胞試験なども含めて多岐に渡り活発に研究が展開されている材料である.特に「球状多孔質リン酸カルシウム粒子」はドラッグデリバリーシステム(DDS)のキャリヤー,骨補填材料,生体分子の分離剤などへの応用が可能なだけでなく,板状結晶や針状結晶などに比し構造由来の生体へのダメージが少ない,高い生体適合性を有する新規な生体材料として注目を集めている.しかし,リン酸カルシウムの合成ではpHを調整するためのアンモニアなどの添加を行うと,ただちにリン酸カルシウムの晶析反応が進行してしまうため,得られる粒子の形状を制御することは困難であるといった問題点を抱えているのが現状であった. 一方,DDSのキャリヤーなどに応用されているリン脂質の分子集合体であるリポソームの内水相は微小反応場としても注目され,無機化合物の合成についても検討されている.この内水相でリン酸カルシウムを合成することができれば,内水相でのみ晶析反応が進行し,球状リン酸カルシウム粒子を合成することができると考えられる.また,晶析反応を進行させる内水相に界面活性剤を添加することにより,得られる球状リン酸カルシウムの多孔質化を行うことも可能である.そこで本研究では,リポソームをリン酸カルシウム粒子の形状を制御するための鋳型に,内水相に添加する界面活性剤をリン酸カルシウム粒子に多孔質構造を付与するための鋳型に用いた図1に示す複合有機テンプレート(Hybrid Organic Templates : HOT)法によって,多孔質球状リン酸カルシウム粒子の合成について検討を行うことを目的とした. 図1 複合有機テンプレート(HOT)法の概略図 1212015 千葉工業大学附属研究所 プロジェクト研究年報          Project Report of Research Institute of C.I.T 2015    

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