千葉工業大学　プロジェクト研究年報　2015年版

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さ反射減衰量の関係を示す。ダイヤモンド触針を用いたスクラッチ加工では、加工荷重が増えるとともに加工深さが深くなった。それに従い反射減衰量は小さくなり、反射光が増えた。このことは、以前のエリプソメータでの検討１）によると、ダイヤモンド切れ刃による加工量が増えることによってガラスの塑性流動による加工変質層が厚くなり反射減衰量が減ったものと考えられる。 図3 ダイヤモンド触針での加工荷重と加工深さ、反射減衰量の関係 各種材料の触針による検討では、加工荷重50μＮ固定とし加工量と反射減衰量を評価した。液雰囲気は純水とした。コネクタフェルールの端面は、あらかじめ最終仕上げによって反射減衰量を55dB以上の加工ダメージがほとんどない状態にした。表1に加工結果を示す。ダイヤモンドの加 表1各種触針による加工特性 工では、4.4nm程度加工していた。この加工によって端面には加工ダメージが発生し、反射減衰量は39dBまで減少した。一方、光ファイバの材料である石英に対しモース硬度がほとんど同じか若干低い酸化セリウム、ジルコニア触針による加工では、加工深さがダイヤモンド触針より大きくなった。また、反射減衰量はほとんど加工前と変化しなかった。切れ刃が、被加工材より軟らかいにも関わらず、ダイヤモンド触針より加工し、しかも加工ダメージがほとんど無いということは、これら2つの材料の触針による加工に機械的作用の他に何らかの化学的作用が大きく関わっていると考えられる。一方、シリカ触針では加工はされたが、加工深さは非常に小さかった。また、反射減衰量は加工後ほとんど変化が無く加工ダメージは測定されなかった。このように、スクラッチ加工は、触針材質によって大きく左右され、それらは実際の研磨を反映するものであることが明らかになった。 液雰囲気のpHを変化させ、シリカ触針を用いた加工を検討した。純水に水酸化カリウムを混入させることによりpHを11.5とした。加工の結果、深さは純水の場合の0.7から7.1と大きく深くなった。しかし反射減衰量は、ほとんど変化せず加工ダメージは測定されなかった。これは、シリカ同士の加工では、お互いが摩滅しながら加工が進むため、pHが上がりその加工速度が速くなっても、加工に材料の大きな変形が伴い、それによる残留ひずみが発生するわけで無いことがわかった。 表２シリカ触針を用いｐHを変化させた時の加工特性 ４.まとめ 研磨技術の高度化を目指しAFMスクラッチ加工による研磨の素過程の検討を行った。その結果、酸化セリウムなどの加工に化学的効果が関与しているとされている触針による加工では、ダイヤモンド触針と同等以上の加工量が得られるにもかかわらず加工ダメージがほとんど発生しないことが明らかとなった。AFM触針によるスクラッチ加工が砥粒による研磨加工を良くシュミレートしていることを明らかにでき、研磨の検討で有用であることがわかった。 本研究に関する主な発表論文 (1) 松井伸介、梅村茂、佐藤天哉、日本材料科学会誌“材料の科学と工業”、51巻、2014､28－25 (2) 松井伸介、宇根篤暢、鴨打輝正、精密工学会誌、79巻、2013、1246－1250 (3) 松井伸介、阿部宜輝、砥粒加工学会誌、57巻、2013、459-464 (4) 佐藤天哉、松井伸介、梅村茂、2013年度砥粒加工学会学術講演会、2013年08月27日～2013年08月29日、日本大学（東京都千代田区） (5) Shinsuke Matsui, Shigeru Umemura, Takaya Sato, European Society for precision engineering & nanotechnology, 2014年06月02日～2014年06月06日、Dubrovnik, (Croatia) (6) Shinsuke Matsui, Shigeru Umemura, ASPE 2013 Annual Meeting, 2013年10月20日～2013年10月25日St. Paul (USA) (7) 佐藤天哉、松井伸介、梅村茂、2014年度精密工学会秋季大会、2014年09月16日～2014年09月18日、鳥取大学（鳥取県鳥取市） (8) 佐藤天哉、松井伸介、梅村茂、2014年度砥粒加工学会学術講演会、2014年09月11日～2014年09月13日、岩手大学（岩手県盛岡市） 参考文献 １）松井伸介 大平文和 小藪国夫 松永和夫：“光ファイバの端面研磨と加工変質層－加工変質層と反射減衰量の関係－”，精密工学会誌，64 (1998) 1467 1202015　千葉工業大学附属研究所　プロジェクト研究年報　　　　　　　　　　Project Report of Research Institute of C.I.T 2015　　　　

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