千葉工業大学 プロジェクト研究年報 2015年版
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研究項目: 科研費採択者助成金(初年度) 研究期間: 2014/4/1 ~ 2015/3/31 研究課題名(和文): 拡張可能な学習支援システムの基本アーキテクチャとグループ学習への応用の研究 研究者: ○仲林 清 千葉工業大学 NAKABAYASHI Kiyoshi 情報科学部 情報ネットワーク学科 教授 森本容介 放送大学 MORIMOTO Yosuke ICT活用・遠隔教育センター 准教授 池田 満 北陸先端科学技術大学院大学 IKEDA Mitsuru 知識科学研究科 教授 1. はじめに eラーニングの分野では,教育品質の向上や内容の豊富化のために,学習コンテンツや学習方略記述の流通再利用を促進することが不可欠である.しかし,学習者適応機能を有する学習コンテンツや協調学習の学習方略記述を流通再利用する枠組みは確立されていないのが実情である.これは,流通再利用性と学習支援機能の拡張性の両立が困難であるためである. 上記の課題を解決するため,報告者は「教材オブジェクト」と呼ぶ概念を導入した学習支援システムアーキテクチャELECOA (Extensible Learning Environment with Courseware Object Architectureを提案した.図1のように,ELECOAではプラットフォームとコンテンツの間に,様々な学習支援機能を実現するプログラム部品である教材オブジェクトが構成要素として加わる.新たな機能を実現する際には,新規の教材オブジェクトを追加して拡張を行う.既存コンテンツは既存教材オブジェクトを使用して動作するため機能追加の影響を受けず,機能拡張性を向上できる.また,新規教材オブジェクトをコンテンツと併せて流通させることで,流通再利用性を確保できる. これまでに,階層型(ツリー構造型)の学習制御構造を持つ自己学習用コンテンツ,グループ学習環境を対象に研究を進めた.自己学習用コンテンツについては,提案した構成法によってSCORM 2004[1]の全シーケンシング機能が実現可能であり,SCORM 2004に規定されていない自己学習支援機能の追加も可能であることを示した[2-3].グループ学習環境についても,Learning Design規格[4-5]を念頭に,図2のように教材オブジェクトの概念を拡張して,複数学習者の状況集約と学習制御への反映を行うグループ学習環境を提案し,この枠組みで,複数学習者の学習制御などグループ学習の基本機能が実現可能であるという見通しを得た[6]. 既存学習方略コンテンツ1既存学習方略コンテンツ2新規学習方略コンテンツ3新規学習方略コンテンツ4既存仕様1既存仕様2新規仕様3新規仕様4Obj.AObj.BObj.CObj.DObj.EObj.FObj.Gプラットフォーム要求仕様求められる教育内容教育効果の記述学習方略記述・教材定義教材内容・構造・順序関係教材オブジェクトの組合せの記述教材オブジェクト学習方略・コンテンツの実行学習者適応機能表示機能・履歴記録機能プラットフォーム実行時の教材オブジェクト連携必要な機能を後から教材オブジェクトとして追加可能既存機能には影響しない動作可動作可 図1 ELECOAアーキテクチャ 学習者1学習者2学習状況集約複数学習者の状況集約と学習制御への反映学習環境(教材)学習環境(共有ツール)学習者ごとの学習制御学習者ごとの学習制御教材オブジェクト学習アクティビティ 図2 ELECOAのグループ学習への適用 2. 研究の内容 以上の課題と研究成果を踏まえ,本研究では,ELECOAの教材オブジェクト間インターフェースに関する基本アーキテクチャの確立を図るとともに,実用的なグループ学習環境への応用を図る.具体的には以下の項目について研究を進めた. 1072015 千葉工業大学附属研究所 プロジェクト研究年報          Project Report of Research Institute of C.I.T 2015    

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