千葉工業大学 プロジェクト研究年報 2015年版
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研究項目: 科研費採択者助成金(初年度) 研究期間: 2014/4/1 ~ 2015/3/31 研究課題名(和文): 原発用メカナム・脚ハイブリッドロボットの開発 研究課題名(英文): Mechanum-leg hybrid robot for nuclear generator 研究者: 米田 完 千葉工業大学 YONEDA Kan 工学部 未来ロボティクス学科 教授 1.福島原発における4足歩行ロボット使用の現状 福島第1原子力発電所の廃炉に向けた作業においては、車輪やクローラのロボットでは踏破が不可能な個所がある。例えばトーラス室のキャットウォークの一部には、中央にマンホール状の大きな突起があり、600mm程度の段差を乗り越えなければ通過できない(あるいはこれを避けるために非常に狭隘で曲がったマンホール側部通路を通過する必要がある)。筆者は東芝が開発した4足歩行ロボットの改良・運用に関して、経済産業省の遠隔技術タスクフォース内の4足歩行ロボット技術WGの委員長として協力し、キャットウォークに至る階段の昇降に成功して無事に点検作業を行うことができた。 しかし、4足歩行ロボットは一般に段差踏破能力が優れているとされながら、現存のロボットで昇降できるのは400mm程度の高低差である。脚式のロボットがしばしば目標とする階段昇降は1つの段差が小さく、脚式でなくとも工夫された形状のクローラで良好に走破が可能である。歩行ロボットであるならば、上述のような一気に600mmの段を昇降することが望まれるべきである。本研究では、より大きな段差昇降能力をもつ4足歩行ロボットを開発し、原発内をはじめ、大高低差踏破を必要とする現場へのロボット投入を可能にする。 図1 前後クロス脚構造 2.前後クロス脚構造 従来よりも飛躍的に大きな脚可動範囲を持たせるため、図1のように前脚が胴体後方から生え、後脚が胴体前方から生えているクロス型の脚構造を提案する。これにより長い脚をコンパクトな胴体に装備することができ、ロボット全体の前後長を短くできる。脚先の到達範囲は図2のように上下に広くできる。 図2 後脚可動範囲 3.メカナム・脚ハイブリッド構造 歩行ロボットは多くの場合、生物の模倣を念頭においている。しかし、筆者は非生物型で、生物にはない機能を持つ歩行機構を複数提唱してきた。本研究では、全方向移動車用の車輪であるメカナムホイールを脚先に装備して、脚ロボットの欠点を補い、機能向上をはかる。具体的には、遊脚を前に出す際に同時に3脚支持状態のロボット全体を前進させることによって、重心投影点を支持脚範囲に入れたまま、より大きく遊脚を動かすことができる。 1052015 千葉工業大学附属研究所 プロジェクト研究年報          Project Report of Research Institute of C.I.T 2015    

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