千葉工業大学 プロジェクト研究年報 2015年版
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表1 QRoSS IIの仕様 Width 285[mm]Height 293[mm]Mass(including Battery) 290[mm]Degrees of freedom 2809[g]Actuator B3M-SB-1040-AMaximum torque 4.1[Nm] 3. 動作の構築と検証実験 QRoSS IIの動作の構築を行った. 歩容に関してはクロール歩容,トロット歩容,左右の旋回歩容を構築し,クロール歩容は約0.07[m/s],トロット歩容では約0.1[m/s]での移動が可能であることが確認でき,また旋回歩容では左右回転ともに1回のステップで約60度の旋回が可能であることが確認できた.球体外殻を用いた回転移動の構築に関しては,計画した回転移動を回転速度150[deg/s]で実現する事はできたが,重心の偏心や外殻の変形により回転速度に変化が生じ,安定した移動が困難であった.図4は回転移動時の連続写真であり,図5は回転移動時の球体外殻の角速度の計測結果である.図5より重心の偏心の影響により角速度の値の変動が大きいことが分かった.そこで図6に示すように重心が球体外殻の中心付近になるよう脚機構の格納方法を再検討し,2脚を上下反転して格納する事にした. 図4 QRoSS IIによる回転移動 図5 回転移動(150[deg/s],改良前) 改良後は第2関節を90[deg/s], 180[deg/s], 270[deg/s]の3種類の回転速度にして動作実験を行った.図7に180[deg/s]の回転速度の時の球体外殻の角速度の変化を示す.実験結果より改良後は角速度の変化は生じてしまったものの,値の変動は改良前と比較して小さくなっていることと,また速度が上がるにつれて目標の角速度との差も減少していることが確認でき,重心の改善による回転移動の安定性の向上が確認できた.しかし改良前と同様に外殻の変形により外殻の半径の大きさに違いが出ることで回転速度に違いが生じてしまう問題点も確認できた.この問題点の改善策として外殻を形成するロッドの材質の再検討が考えられる.また外殻の変形を防げない場合は,回転速度の変化に応じて第2関節の回転速度を変化させ,強制的に機体自体の回転速度と第2関節の回転速度を合わせるように制御することで安定性を向上させる必要があると考える. 図6 改良後の格納時の脚配置 図7 回転移動(180[deg/s],改良後) 4. まとめ 球体外殻を持つ四足歩行ロボットとしてQRoSS IIの試作を行い,試作機での歩容および球体外殻を用いた回転移動確認を行った.回転移動に関しては重心の偏心の改善により安定性が向上したが,外殻の変形によって回転速度に変化が生じる問題点が発生した. 今後は外殻を構成するロッドの材質や回転移動の安定性を向上させる制御の検討を行う. 本研究に関する主な発表論文 (1) T. Aoki and K. Ogihara: "Design of Quadruped Walking Robot with Spherical Shell," Proc. of Int. Conf. on Design Engineering and Science, pp.116-121, 2014 (2) T. Aoki and K. Ogihara: "Design of Quadruped Walking Robot with Spherical Shell," American Transactions on Engineering & Applied Sciences, Vol.3, pp1652-1660, 2014 1022015 千葉工業大学附属研究所 プロジェクト研究年報          Project Report of Research Institute of C.I.T 2015    

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