千葉工業大学 プロジェクト研究年報 2015年版
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研究項目: 科研費採択者助成金(初年度) 研究期間: 2014/4/1 ~ 2015/3/31 研究課題名(和文): 災害探索用球体センサのための球体外殻を持つ歩行ロボットの研究 研究課題名(英文): Study of quadrupedal robots with spherical shell for rescue searching sensors 研究者: 青木 岳史 千葉工業大学 AOKI Takeshi 工学部 未来ロボティクス学科 准教授 1. はじめに 本申請では,災害現場での探索を目的とした小型の探索機器の開発を目的とし,図1に示すようにレスキュー隊員による投擲によって現場搬入が可能な探索用球体センサとして,球体外殻を持つ四足歩行ロボットの研究開発を行う.提案するロボットは超弾性ロッドで構成する球体外殻の内部に歩行用の脚機構を格納する事ができ,球体外殻によって着地時の衝撃を吸収するとともに,球体外殻を効果的に利用した複合的な歩容を実現する事ができる.また従来提案されてきた歩行ロボットは機体の堅牢さが不足していたため実環境への適用が困難であったが,本研究では転倒後の復帰も含めてロバスト性の高い機体の開発が実現できる.さらに球体外殻と脚機構との複合歩容を実現する事により,従来の球体形状の移動機構よりも高い移動性能を実現できる.本研究では,探索用球体センサの実用機の研究開発を目的とし,①球体外殻を用いた移動機構の完成と,②球体外殻を用いた移動方法の確立を行う. 図1 災害探索用球体センサのコンセプト 2. QRoSS IIの開発 本研究ではこれまでに基本的な性能を検証するためにQRoSS Iの開発を行っており,開発コンセプトを実現するための一定の成果を得ることができた.そして球体外殻を効果的に利用した複合歩容を実現するために,脚機構の関節配置を再設計し,アクチュエータを高出力の物へと変更した「QRoSS II」(図2)の試作を行った.QRoSS IIでは図3に示す球体外殻を連続的に回転させる移動方法を実現するために,対向する2脚のみを球体外殻の外部に出して脚部の第2関節を無限回転させる必要がある.そこで脚部第2関節の無限回転を実現するために関節軸へスリップリングを導入するとともに,従来は2重関節であった関節機構の再設計を行い,起上り動作の見直しと合わせて関節機構の試作を行った.また試作二号機では,今後予定しているセンサシステムや跳躍機構の導入を行うために試作一号機よりも大型化するため(球体外殻の外径は250mm~300mm程度),併せて構造解析を用いた球体外殻の再設計も行った.表1にQRoSS IIの仕様を示す. 図2 試作したQRoSS IIの外観 図3 球体外殻を用いた回転移動 1012015 千葉工業大学附属研究所 プロジェクト研究年報          Project Report of Research Institute of C.I.T 2015    

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