千葉工業大学 プロジェクト研究年報 2015年版
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の値は0mでなければならないが図5では横軸が進むにつれ値が0から離れており、誤差が大きくなっているのが分かる。これはIMUのデータに誤差があるためその誤差がSfMの解析にも影響を及ぼしたものと考える。SfMに与える基準点の与え方が異なるとSfMによる計算結果は大きく異なるため、正確にカメラ位置を与えることが必要である。 図5 カメラ自己位置推定結果(与点IMU) 図6 カメラ自己位置推定結果(与点真値) (3) IMU/カメラによる解析結果 SfMにより求められたカメラの撮影時の位置情報をカルマンフィルタに取り込むためには、その誤差(位置推定誤差の標準偏差r)を指定する必要がある。今回は凡その目安としてrを0.1mあるいは1mとした。今回の実験では表1に示す各種パターンで行った。図7、図8は、カメラの標準偏差 0.1m,加速度計の標準偏差20.01/msによる解析結果であり、それぞれ図5、図6の自己位置推定結果を取り込んだものである。図7と図8を比べると、高さ方向(実験場所が平坦であるため、真値は0m)に着目すると、図7は横軸が進むにつれ(測定時間が累積すると)誤差が増加している。一方、図8はそのような値の変動は見られない。これは図5に比べ図6の測定精度が良かったため、カルマンフィルタにより解析した時に影響したものと考える。 表1 加速度計の標準偏差とカメラ位置の標準偏差 図7 カルマンフィルタによる解析結果 (パターン 1) 図8 カルマンフィルタによる解析結果 (パターン 3) (4)間欠停止カルマンフィルタとIMU/カメラ手法との比較 図9は間欠停止カルマンフィルタ,IMU/カメラ手法(SfMによる解析の内、基準点にIMUのデータを使用したものと真値を使用したもの)のそれぞれ停止点ID毎の3次元誤差である。これによると、間欠停止カルマンフィルタのみよりもIMU/カメラ手法の方が精度が向上している。 図9 停止点ID毎の3次元誤差 5.まとめ 本論文は、IMU/カメラ手法を取り入れた場合の間欠停止カルマンフィルタの精度向上を検討したものである。研究結果を以下にまとめる。 (1) SfMの解析結果を観測値としてカルマンフィルタに取り込んだ本手法は、間欠停止カルマンフィルタの測位精度向上に有効であることを確認した。 (2) 間欠停止カルマンフィルタの精度向上の程度には、SfMの精度が関係する。 本研究に関する発表論文 (1) 川崎英明、小泉俊雄、岡本良夫、佐々木脩安、安齋翔次郎:連続写真を用いたカメラの自己位置推定、応用測量論文集Vol.25,pp.125-132,2014 (2) 中島崇宏、安齋翔次郎、川崎英明、岡本良夫、小泉俊雄:SfMのカメラ自己位置推定情報を導入した慣性測量に関する研究、応用測量論文集、Vol.26、pp.123-133、2017 参考文献 1) 小泉俊雄,岡本良夫,白井靖幸,波田太至:間欠的確定観測に基くカルマンフィルタ状態推定法,写真測量とリモートセンシング,Vol45,No.3,pp.24-30,2006 2) 中澤玲太, 岡本良夫, 小泉俊雄:カルマンフィルターを利用した間歇停止慣性測量, 平成23年度全国大会研究発表会, 測位航法学会, 2011 982015 千葉工業大学附属研究所 プロジェクト研究年報          Project Report of Research Institute of C.I.T 2015    

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