千葉工業大学 プロジェクト研究年報 2015年版
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3. 結果 社会人基礎力テストの結果,行動する力,考え抜く力,チームで働く力のすべての項目において授業の前後で有意な改善が認められた (図 4,各 45 点満点).授業達成度アンケートでは,「スポーツのルールを学んだ」「自己の身体への気づきがあった」「スポーツ技術を向上させることができた」「動作がどのように行われているかについての興味・関心が広がった」「スポーツを『する』ことの楽しさがわかった」「スポーツを楽しむ態度が身についた」「iPadmini を用いることでグループディスカッションが充実した」の項目が 4 ポイントを上回った (図 5,各 5 点満点). 図 2.Ubersense による 2 画像の重ね合わせ 図 3.授業達成度アンケート 5. 考察 本研究では、本学で開講しているスポーツ科学および集中スポーツ科学の「ゴルフ」の種目において,ICT を用いた教育効果について,種目特製の理解度および社会人基礎 図 4.社会人基礎力テストの結果 (黒:授業前,灰色:授業後,縦軸はポイント) 図 5. 授業達成度アンケートの結果 (Q1 から Q22 は図 3 に対応,縦軸はポイント) 力の観点から検討した.その結果,社会人基礎力については行動する力,考え抜く力,チームで働く力のすべての項目において授業の前後で向上が認められた.今回の報告では ICT を用いない授業との比較を行っていないため,本結果が ICT を用いた影響であるか否かを明確にすることはできないが,少なくとも ICT 教材を用いることは受講生の社会人基礎力に悪影響を及ぼさないと考えられた.また,種目特製の理解度の指標として行った「授業達成度アンケート」では,マナーのスポーツとも言われるゴルフ特有のルールに関する項目や,ICT を用いることでフィードバックされる動作に関する項目,また,それによってスポーツを楽しむことに関する項目が高得点を示したことからも同様のことが言える.特に,「iPadmini を用いることでグループディスカッションが充実した」という項目が高得点を示したことから,ICT 教材を用いたスポーツ授業は種目の理解に加えて社会人基礎力の獲得にも有効に働いている可能性が伺い知れた. 今後,ICT 教材を用いたスポーツ教育の効果を明らかにするために,ICT 教材を用いない場合との比較を行う必要がある.加えて,学期内と集中として行われる授業では授業の形態や性質が異なってくるため,これについて検討することでより良い授業づくりに貢献できると考えられた. 参考文献 (1) 松田裕雄,吉岡利貢,河村レイ子,桐生習作,金谷麻理子,武田丈太郎,門野洋介.大学体育の勝向上に向けた一考察—教育実践における目標・教授・学習に着目して—.大学体育学,9,69-92,2012. 思わないあまり思わないどちらでもないやや思う思うQ1スポーツのルールを学んだ12345Q2自分と他者または他者同士の動作を比較しその違いを分析・説明できる12345Q3自己の身体への気付きがあった12345Q4スポーツ技術を向上させることができた12345Q5動作がどのように行われているかについての興味・関心が広がった12345Q6他者の動作を見てその動作を分析・説明できる12345Q7スポーツの戦術を理解した12345Q8スポーツ・身体動作への興味・関心が広がった12345Q9スポーツを人に教える楽しさがわかった12345Q10スポーツを「する」ことの楽しさがわかった12345Q11自分と他者または他者同士の動作の違いに対する興味・関心が広がった12345Q12授業時間以外に選択種目の技術や戦術に関して友達と話合ったことがある1-> 0回2-> 1-3回3-> 4-6回4-> 7-9回5-> 10回以上Q13自ら進んでスポーツ技術を教わる態度が身についた12345Q14スポーツ技術の習得方法がわかった12345Q15自分の動作についてその動作を分析・説明できる12345Q16スポーツを楽しむ態度が身についた12345Q17スポーツを「見る」ことの楽しさがわかった12345Q18授業時間以外に選択種目の技術や戦術に関して自分で調べたことがある(書籍,Web,ネット動画含む)1-> 0回2-> 1-3回3-> 4-6回4-> 7-9回5-> 10回以上Q19スポーツ技術や戦術の理解が深まった12345Q20自分の動作に対する興味・関心が広がった12345Q21授業時間以外にiPadminiで撮影した映像を見直したことがある1-> 0回2-> 1-3回3-> 4-6回4-> 7-9回5-> 10回以上Q22iPadminiを用いることでグループディスカッションが充実した12345質問項目0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 Q1 Q2 Q3 Q4 Q5 Q6 Q7 Q8 Q9 Q10 Q11 Q12 Q13 Q14 Q15 Q16 Q17 Q18 Q19 Q20 Q21 Q22 * * * *:p < 0.05 902015 千葉工業大学附属研究所 プロジェクト研究年報          Project Report of Research Institute of C.I.T 2015    

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