千葉工業大学 プロジェクト研究年報 2015年版
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研究項目: 教育研究助成金 研究期間: 2014/4/1 ~ 2015/3/31 研究課題名(和文): スイング種目における映像メディア機器を用いた種目特性の理解度およびソーシャルスキルの調査 研究者: ○引原 有輝,金田 晃一 千葉工業大学 HIKIHARA Yuki,KANEDA Koichi 工学部 教育センター 准教授,助教 1. 目的 本学のスポーツ科学の目的は,単なるスポーツ動作の獲得ではなく,スポーツ動作の獲得を目指して学生自身が主体的に教え合い,学び合う中で種目の特性を理解すると同時に,社会人基礎力を獲得することに主眼を置いている.そこで,これまでグループワークを中心に「スポーツ」を題材として行動する力 (Action),考え抜く力 (Thinking),チームで働く力 (Team work)についてそれぞれの力を伸ばせるよう授業を展開してきた.グループワークではコミュニケーションをとることを中心に,選択した種目に関する技術の習得を目指し,グループメンバーがどのような動きをしているのか,どのような感覚で動作を行っているのか,またチームスポーツではどのような戦略が有効に働くのか,などについてディスカッションを行うことを促してきた. ここで,2013 年より本学では新入生全員に対して iPadmini が配布されることとなり,特に「どのような動きをしているのか」について,学生個人が所有する iPadmini に付属している動画撮影機能を用いることで,速やかにフィードバックを行うことができるようになった.また,近年,iPadmini などの携帯型電子端末を用いたスポーツ情報を収集するデバイスやフィードバックアプリケーションの開発が進んでいる.このように,本学で開始された全入学生に対する iPadmini の配布は本学のスポーツ科学の授業目的に合わせて使用できる可能性が大いに期待できる. そこで本研究では,スポーツの技術的要素が強いスイング種目である「ゴルフ」を取り上げ,iPadmini やその他の映像メディア機器を学習教材として補助的に使用することが,ゴルフのスイング動作の獲得や種目特性の理解度,さらに社会人基礎力の獲得において有効な教育手法となり得るかについて検討することを目的とした. 2. 研究の方法 本研究の対象となったのは,2014 年度後期に開講されたスポーツ科学「ゴルフ」の受講生であった.本授業における実技では,主にショートアイアンを用いたゴルフスイングの技術習得に主眼が置かれ,これを獲得するためのグループワークを実施した.また,本研究では 2014 度後期に開講された集中スポーツ科学「ゴルフ」の受講生も対象とした.両授業では iPadmini および EPSON 社が販売しているゴルフスイング解析ソフト M-Tracer を使用し,グループワークを中心とした授業を実施した.M-Tracer では,動画だけでは確認できないインパクト時のクラブの向きや流れ,スイング速度,クラブの回転などの情報を得ることができる (図 1).また,iPadmini には映像の同時表示や重ね合わせができ,さらにスロー再生やアノテーションを付加できる機能を持ったフリーアプリケーションである Ubersense (図 2) をインストールさせ,これを用いてスイングショットの映像を横方や後方から撮影し,グループワークのための資料として活用した. 各授業の前後に社会人基礎力テストを,授業後には筆者らが松田ら1) のアンケート用紙を参考にし,さらに iPadmini および M-Tracer を用いることによる影響を加味したアンケート項目を付加して新たに作成した「授業達成度アンケート」 (図 3) を実施し,授業前後でどのように変化したかについて比較を行った. 図 1.ゴルフクラブに取り付けた M-Tracer (上段) と iPadmini 上で閲覧できるスイング情報 (下段) 892015 千葉工業大学附属研究所 プロジェクト研究年報          Project Report of Research Institute of C.I.T 2015    

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