千葉工業大学 プロジェクト研究年報 2015年版
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研究項目: 教育研究助成金 研究期間: 2014/4/1 ~ 2015/3/31 研究課題名(和文): 放射線計測実験による放射線リスク認知の向上 研究課題名(英文): Enhancement of Risk Recognition of Radiation by Measurement of Radiation 研究者: 山崎 晃 千葉工業大学 YAMAZAKI Akira 社会システム科学部 金融・経営リスク科学科 教授 1.はじめに 福島第一原子力発電所の事故を契機に,放射線についての関心が高まってきている.放射線は目に見えないなど人間の五感で感じることが一般的にはできず,また,その影響は中長期的に人体に及ぶものであり,さらには,遺伝子の損傷により遺伝的な形でも起こり得る.他方で,必ずしも正しくない知識や外部からの間違った情報により,適切な対応が取られないことも十分あり得る. このような状況を背景に,千葉工業大学社会システム科学部金融・経営リスク科学科3年生が,放射線計測器を用い,様々な実験を行った.実際に,学生自らの手で放射線計測を行うことにより,放射線に対する関心を深め,その現状や特性を理解することを図る.これにより,放射線に対するより正確な知識を身に着け,放射線に関する様々なリスクについて理解することを目的とした. これにより,将来的に,放射線のリスクに対して,自ら考え行動することができ,更に,他者に対して,正しい知識を伝達することが可能となり,社会全体が放射線に対するリスクを正しく認知することにつながっていくことが期待できる. 2.研究の内容 (1) 概要 ①目的 東日本大震災後の原発事故により,放射線についての関心が高まる一方,放射線について必ずしも十分な認識がなされていないのが実情である.このような状況において,学生自らが放射線計測を行い,自然界に存在する放射線についての認識を深めるとともに,減衰や遮蔽についての知識を実験的に確認し,放射線についてのリスク低減のためのマネジメント能力を涵養する. ②計画 自然界に存在する放射線を計測し,実際にどの程度の放射線が存在するのか,それはリスクという観点からどう評価されるのかを検討させる.また,距離によって放射線強度の変化を測定し,更に,素材の異なる物質による遮蔽の効果及び厚さにより放射線強度がどのように減衰していくか等について計測を行う. ③期待される成果等 放射線について現実感を持って感じることがまずは重要であり,その中で,リスクという観点から放射線について改めて考える一つの契機とすることができる.これを基に,放射線について,何が危険で何が必ずしもそうではないのか,ということについて,自ら考えることにより,今後放射線についてのリスクについて主体的に発信できるような能力を身に付ける. (2) 具体的手順 まず,放射線についての一般的な知識を身に着けさせた上で,以下の内容の実験を実施. ア)自然放射線(バック・グラウンド)の測定 イ)測定試料を使った放射線の測定 鉱石や塗料などの試料を用い,放射線量を測定 ウ)距離の実験 距離の変化による放射線強度の違いの測定 エ)遮へいの実験(材質による違い) 材質(鉛,ステンレス,アルミ,アクリル)による遮蔽効果の違いを測定 オ)遮へいの実験(厚さによる違い) 遮蔽材の厚さの違いによる遮蔽効果の違いを測定 カ)様々な場所の放射線の測定 計測を行う場所(高さ,水の有無,建物の素材,その他)による違いを確認 これらについて,以下の手順により実験を実施. ① 4人ずつのグループを編成 ② 各実験について,結果の仮説形成 ③ 各実験の実施 ④ 結果について,仮説を検証しつつ各自レポート作成 ⑤ グループ毎のパワーポイントを用いた発表及び学生間での質疑応答 ⑥ ポスター発表及び教員を含めた質疑応答 872015 千葉工業大学附属研究所 プロジェクト研究年報          Project Report of Research Institute of C.I.T 2015    

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