千葉工業大学 プロジェクト研究年報 2014年版
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ることで,それを考慮しない場合に比べて,原画像の大局的な輝度・色の変化を再現できている.図3に量子化パラメータQPと発生符号量との関係を示す.これより,QPが同じ場合にはJPEGと比較して符号量を82%削減することができることがわかる.また,図4に同一符号量で符号化した際の提案方式とJPEGとの画質比較を示す.画像全体にJPEGを適用した場合と比較して,見た目の画質を保持できていることがわかる.図5は,提案方式とJPEGとを同符号量に調整した際の復号画像の主観評価結果を示したものであり,提案方式のほうが優れている結果となった.一方,ポアソン画像合成の高速化により,画像合成処理部分の処理時間を1/100程度まで削減することができることがわかった. 6.まとめ 本手法により従来のJPEGに対して大幅な符号量削減できる可能性を示した.本手法の課題としては,領域分割の精度向上とともに,テクスチャ合成符号化が適用可能な領域の自動選定,テクスチャ領域サイズを考慮したパッチサイズの自動設定などが挙げられる.さらに今後は,動画像への適用に関しても検討を進めていく予定である. なお,本研究はJSPS科研費25330204の助成を受けて実施したものである. [参考文献] [1] 吉野貴士, 八島由幸, “顕著性マップとポアソンブレンディングを用いたテクスチャ合成画像符号化,” 電子情報通信学会画像工学研究会, IE-2012-119, pp.227-232, 2012. [2] P.Perez etc.,”Poisson Image Editing” ACM SIGGRAPH 2003, pp.313-318, 2003. [3] L.Itti, C.Koch, E.Niebur, “A Model of Saliency-Based Visual Attention for Rapid Scene Analysis.” IEEE Transaction on PAMI, Vol.20, No.11, pp.1254-1259, Nov., 1998. [4] Alexei A.Efros, William T.Freeman, “Image Quilting for Texture Synthesis and Transfer ,”Proceedings of SIGGRAPH 2001, pp.341-346, 2001. [5] 長友陽介,八島由幸,“縮小画像を用いたポアソン画像合成の高速化,” 電子情報通信学会第13回情報科学技術フォーラムFIT2013, I-036, 2013 図1 処理の流れ (a)原画像(1024×768) (b)マスク画像 (c)顕著性マップ (d)顕著ブロックとパッチ (e)復号画像 (f)復号画像 (顕著ブロック有) (顕著ブロック無) 図2 実験結果 図3 QP値と発生符号量の関係 (a)JPEG (b)提案手法 図4 復号画像の比較(提案手法のQP=24, JPEGは同符号量になるようにQPを調整) 2014 千葉工業大学附属総合研究所 プロジェクト研究年報          Project Report of Research Institute of C.I.T 2014      80

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