千葉工業大学 プロジェクト研究年報 2014年版
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種目特性として捉えられた. 引率教員の記録から,学生の反応や気象条件に関連する項目を抽出したところ,技能レベル差に起因する課題が見られた.全体的に,初心者ほど暑く,経験者ほど寒い傾向にあり,その要因として,運動強度の差異と,待機時間の違いが挙げられた.実際に,初心者と経験者に分けて温冷感および主観的運動強度を分析したところ,初心者ほど運動強度が高く(図3),温冷感は「暖かい」申告を示した(図2A).逆に,滑走技能の高い上級者ほど,比較的運動強度が低く,また待機時間も長くなるため,運動量を確保できず,「寒い」申告を示すと考えられた.技能差への対応として,経験者を初心者のサポートにつけることで,経験者の運動強度を確保する対応が見られた.他に,悪天候の際は,教員からの説明時間を短縮し,運動学習(滑走)時間を多くする対応が見られた. -4-3-2-101234準備説明滑走他運動リフト教合い自由平均←寒い温冷感暑い→A) 平成24年度-4.5~-3.6℃(吹雪)全員初心者経験者-4-3-2-101234準備説明滑走他運動リフト教合い自由平均←寒い温冷感暑い→B) 平成25年度-2.3~-0.2℃(ナイター)全員初心者経験者 図2 各授業局面における受講学生の温冷感(受講学生全員の平均値±標準偏差および初心者と経験者の平均値.各年度における最も気温の低かった日を抜粋.) 681012141618全体←楽運動強度きつい→平成25年2月8日AM全員初心者経験者 図3 受講学生全員および初心者と経験者の実習中の主観的運動強度(平均値±標準偏差). 学習自己評価については,4段階評価のうち平均で2.8~3.5を示し,各年度とも実習初日から最終日にかけて徐々に学習評価が向上した.気温および温冷感と学習自己評価の関係について相関分析を行ったが,学習評価が高い値に偏っていたため,いずれも関係性が示されなかった. 3.まとめ 本研究の結果,「スノースポーツ」受講学生の温冷感は気象条件や授業局面によって左右され,リフト乗車時や説明・待機局面で特に寒い結果が示された.また,運動強度や待機時間の違いにより,初心者ほど暑く,経験者ほど寒い傾向が見られた. 今年度以降も調査を継続することで,より多様な気象条件や多数のデータに基づいた検討が可能であり,気象条件と受講学生の学習評価との関連性についても併せて検討し,気象条件に応じた実習内容の改善につなげることができる. 本研究に関する主な発表論文 (1) 若林斉,森田啓,引原有輝,金田晃一,谷合哲行,東山幸司,三村尚央,山内政樹.スノースポーツ受講学生の温熱的快適性および学習評価向上を目的とした気象観測および温冷感調査と授業局面分析.2013年度千葉工業大学FDフォーラム予稿集,69-72. 2014 千葉工業大学附属総合研究所 プロジェクト研究年報          Project Report of Research Institute of C.I.T 2014      68

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