千葉工業大学 プロジェクト研究年報 2014年版
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この温泉試料からの古細菌の検出が期待されたが,古細菌は検出されず,真正細菌に相当するバンドが検出された.(研究室では,この温泉試料から微生物の培養に成功しており,菌種を解析中である.)最後に,塩麹試料からは,何もバンドが検出されなかった.塩麹は,真核生物である麹菌を用いて創られた発酵食品であるため,真核生物が検出されると期待したが,菌はいたもののDNAが効率良く反応液中に溶出しなかったこと,増幅効率が良くなかったことなどの可能性が考えられた.以上の意見が,各受講者から出された.受講者は,PCR法の原理の理解に加えて,生活環境中に存在する微生物についての理解が深まった様子が見られた. 3.まとめ 中高生を教える教員としての重要な要素は, 正しい知識で,熱意を持って生徒に教えることである.世間で良く知られている科学技術のひとつであるPCRについて, 本教育研究の実験操作を通して学んだことで, 学生は正しい知識を持つことができた.実際に実験して得たことは自信につながり, 教育実習や卒業後に教壇に立った際に, 熱意を持って生徒に教えることができると期待される. 参考文献 1.遺伝子工学実験ノート(羊土社) 2.基礎から学ぶ遺伝子工学(羊土社) 3. M. Yasuda, et al. Morphological variation of new Thermoplasma acidophilum isolates from Japanese hot springs. Appl. Enveron. Microbiol. (1995) 61, 3482-3485. 図1.受講者による実験風景.PCR用試料をマイクロ ピペッターで調製中 図2.PCRのためのサーマルサイクラー(左)と遠心分離器(右). 受講者は,電気泳動用のアガロースゲルを作成中. 図3.受講者による生活環境中試料ごとのPCR後試料の アガロースゲル電気泳動結果. いずれの泳動図も,M;DNAマーカー, レーン1;真核生物検出のポジティブコントロール, レーン2;真正細菌検出のポジティブコントロール, レーン3;古細菌検出のポジティブコントロール, レーン4 から 6;各生活環境試料を鋳型としたPCR後試料 レーン4;真核生物検出用プライマーを使用 レーン5;真正細菌検出用プライマーを使用 レーン6;古細菌検出用プライマーを使用 2014 千葉工業大学附属総合研究所 プロジェクト研究年報          Project Report of Research Institute of C.I.T 2014      53

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