千葉工業大学 プロジェクト研究年報 2014年版
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1.はじめに レンズやミラーに関する幾何光学の知識は, 波動光学や量子光学など, いかなる形態での光学体系であろうと, 実験を実施する上では不可欠な極めて重要な概念である。かつ, 幾何光学に関しては, 座学よりも実施による体感が重要であり, 16世紀から連綿と続く幾何光学技術の進展も, 学者による理論研究と同程度の寄与として職人による技の洗練が不可欠であった。本学科では光学に関する講義が少なく, 座学が重点となる波動光学や量子光学に多くの時間をさいている事から, この点を補い, かつ幾何光学の体感的習得を目的とした実験キットを開発した。 2.教育研究の内容 幾何光学において重要かつ基本となる光学素子はレンズおよびミラーである。本教育研究では、さらに基本的な素子である凸レンズと凹レンズ、平面ミラーと放物面ミラーを取り上げた。これらを組み合わせることでレーザー光の経路やビーム径を調整し、所望のビームを得る方法を体感的に習得する事を目的とした。 (1)レンズによる結像 単一の凸レンズを使用した場合には、図1に示すように結像される。この場合、レンズからの位置により拡大や縮小が行われ、かつ、結像された像は倒立する。複数のレンズを用いた場合も結像を行うことができる。レーザー光を凹レンズによって広げてプラスチック板に照射し、プラスチック板に描かれた像をレンズによってスクリーン上に結像する光学系とした。レンズの位置およびスクリーンの位置を調整することで、像の拡大および縮小、像の倒立の状態を確認できる系になっている。レンズおよびスクリーンは稼働レール上に設置されており、容易に位置を調整可能である。 (2) レーザー光のビーム径調整 凸レンズを2枚もしくは凸レンズと凹レンズの組み合わ 図1 単レンズによる結像. せることで、任意の倍率にビーム径を調整することが可能である。図2に示すように、(a)凸レンズを2枚用いる方法をケプラー式、(b)凸レンズと凹レンズを用いる方法をガリレオ式と呼ぶ。拡大率もしくは縮小率は、2枚のレンズの焦点距離の関係で決まる。 図2 複数のレンズによるビーム径調整. 結像の光学系と同様に、複数のレンズを稼働レール上に設置し、容易に位置を調整可能である。尚、広がり角を有研究項目: 教育研究助成金 研究期間: 2013/4/1 ~ 2014/3/31 研究課題名(和文): 幾何光学学習実験キットの開発 研究課題名(英文): Development of experimental kit for learning of geometric optics 研究者:(○;研究代表者) ○水津 光司 千葉工業大学 佐藤 宣夫 千葉工業大学 SUIZU Koji 工学部 電気電子情報工学科 准教授 SATOH Nobuo 工学部 電気電子情報工学科 准教授 室 英夫 千葉工業大学 野口 和夫 千葉工業大学 MURO Hideo 工学部 電気電子情報工学科 教授 NOGUCHI Kazuo 工学部 電気電子情報工学科 准教授 脇田 和樹 千葉工業大学 WAKITA Kazuki 工学部 電気電子情報工学科 教授 2014 千葉工業大学附属総合研究所 プロジェクト研究年報          Project Report of Research Institute of C.I.T 2014      47

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