千葉工業大学 プロジェクト研究年報 2014年版
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1.はじめに 本研究代表者らは,専門課程における機械系学生実験の1つの材料力学実験についてその教育の充実を図るべく,本教育研究助成からの援助を得て,平成23年度には“硬さ試験”に“熱処理と統計処理”を盛り込み,平成24年度には“引張試験”および“衝撃試験”について3Dスローモーション映像コンテンツ作成を試みた.また,それらの成果は,パワーポイント形式の学生実験副教材として蓄積してきた.3年目となる平成25年度は,“応力分布”および“構造試験”という残り2つの実験項目の充実を目指すとともに、これまで貯めてきたパワーポイント形式の副教材をベースに,パソコンやタブレット端末での閲覧を前提とした機械系学生実験用の補助教材の開発について検討する. 2.機械系学生実験の現状 工学部・機械サイエンス学科・機械工学コース・3年次の前・後期に毎週金曜日午後2コマ開講のコース必修科目(2単位)である「機械工学実験1・2」は,機械力学・工作加工・材料力学・熱力学・流体力学・制御工学の6分野から構成され,120名強の受講者達は年度初めに20名程度ずつのグループ6つに分けられ,前・後期それぞれに3つずつ割り当てられた分野の学生実験にそれぞれ取り組んでいる.当コースの前身である旧機械工学科時代から,歴代の担当教員達により改善や工夫が連綿と重ねられ受け継がれてきた伝統科目であり,授業評価アンケート結果からも毎年高い教育効果と授業満足度が見て取れる. 当科目内6分野のうちの1つである 材料力学実験 では,“引張試験”,“衝撃試験”,“硬さ試験”,“応力分布”,“構造試験”の5つの実験項目を設定し,グループ(20名程度)をさらに4班程度(5~6名程度)に細分し,新1号棟1階の材料力学実験室および7号館2階のコンピュータ演習室を使用して実習および講義を行っている.授業の目的は,学生主体の体験型の実験・実習およびレポート作成・プレゼンテーションなどを通じて,機械系技術者となるために最低限必要な材料力学の基礎知識の再確認・定着をはかりつつ,材料力学 を,将来,実践的に使いこなして,ものづくりや問題解決に生かせるようになっていくための道筋を学生達に示すことである. ところでこれまでの学生実験では,ガイダンス時に配布されるテキストを事前に読むぐらいしか予習の術がなく,ほとんどの学生がぶっつけ本番で授業に臨むことになっていた.そこで,パソコンや iPad mini などのタブレット型端末で閲覧のできる副教材を開発し,学生に公開すれば,将来的には効果的な予習が可能となる.そうなれば,実際の実験実習,プレゼンテーション,レポート作成時にも,担当教員との対面指導により近い形で学習することが可能となる.担当教員もこれまでよりもより本質的な部分の教育に集中できることになる.なお,実験中は別途専用のタブレットを実験室に備えておき,私物のスマートフォンは使わせないことが必要と考えている. 3.副教材の概要 (1) 副教材制作までの流れ ① パワーポイント形式で作成してきた学生実験用副教材をアプリ開発用に再構成する.また,デジタルハイスピードカメラなどによる映像コンテンツ(可能なら3Dステレオ撮影)を充実させる. ② Macintosh および Windows パソコンを準備し,それらにそれぞれ iPad mini (iOS) および スマートフォン (Android) のアプリ開発環境をインストールした上で,①の副教材を新規アプリとして移植する. (a) (b) 図1 金属材料の破壊の瞬間の3Dスローモーション映像 研究項目: 教育研究助成金 研究期間: 2013/4/1 ~ 2014/3/31 研究課題名(和文): 機械系学生実験におけるPC・タブレット閲覧副教材の製作 研究課題名(英文): Development of supplementary materials for browsing with PC and tablet devices in the mechanical engineering student experiment classes 研究者:(○;研究代表者) ○鈴木 浩治 千葉工業大学 緒方 隆志 千葉工業大学 SUZUKI Kohji 工学部 機械サイエンス学科 教授 OGATA Takashi 工学部 機械サイエンス学科 教授 2014 千葉工業大学附属総合研究所 プロジェクト研究年報          Project Report of Research Institute of C.I.T 2014      45

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