千葉工業大学 プロジェクト研究年報 2014年版
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パーティクルフィルタを使用し頭部の検出と追跡を行う.次に,先行研究(2)の手法に基づき,頭部画像中の水平,垂直方向の水平エッジヒストグラムを求め,それをもとにユーザの頭部姿勢(水平・垂直方向の回転角)を推定する. C. 情報投影 B.で推定した頭部姿勢から,ユーザの視界内に含まれる机上位置を算出する.その結果をもとにパン・チルト雲台を制御して小型レーザプロジェクタの向きを変更し,算出した位置へ情報を投影する. D. タッチ動作の認識 ユーザが手で机上をタッチすることで,投影提示された情報をその位置に移動させる.まず,A.で得た上部カメラからの画像・深度データをもとに,ユーザの手領域を検出するとともにそれが机にタッチしているかを判定し,触れている位置を検出する.その情報をもとに,パン・チルト雲台を制御して小型レーザプロジェクタの向きを変更し,検出した位置へ情報を投影する.その際,視界内での相対位置を記憶しておき,それ以降はユーザが頭部向きを変更してもその位置関係を保ったまま情報を投影する. E. 投影先の状態確認 A.で得た上部カメラからの画像・深度データをもとに,現在の情報投影先の状態を確認する.投影領域の4頂点と中心位置の深度データからその領域の凹凸の程度を判定する.適切な投影先ではないと判断された場合,その周辺領域の深度データを同様に確認し,凹凸の少ない場所を選択して自律的に投影先を変更する. 3.実験 提案システムの有効性を確認するため,評価実験を行った.まず,図4に画像が机上に投影されている様子を示す. (a) (b) (c) 図4 画像投影の例 ユーザが机の中央部(図4 (a)),左端(図4(b)),右端(図4(c))を向いているそれぞれのパターンに対し,ユーザの頭部向きを推定・追従して,特に指示をしない場合にはその視界中心部に画像を投影できていることがわかる. 次に,図5にタッチ動作により投影位置を変更する様子を示す. (a) (b) (c) 図5 タッチ動作による投影位置変更 図5より,ユーザが触れた位置に投影された画像を移動させることができていることがわかる. 続いて,図6に移動させた画像が視界内の相対的位置関係を保ったままユーザの頭部向きに追従している様子を示す. (a) (b) (c) 図6 画像追従の例 ユーザの視線の先に投影されていた画像(図6 (a))を,タッチ操作により視界の右側に移動させた(図6 (b)).その後,ユーザが左側に頭部を向けると,画像は相対的位置関係を維持したままユーザの視界内の右側にあたる位置へと投影されていることがわかる. 最後に,図7にユーザの視線の先に凹凸がある場合の情報投影の様子を示す. (a) (b) 図7 自律的に投影先を変更した例 図7に示す通り,本来の投影場所であるユーザの視線の先には物が置かれ,そこへ情報を投影すると読み取ることができないおそれがある.そこで,提案システムはそこから少し離れた平坦な位置へ投影場所を変更し,読み取りやすい情報提示を実現できていることがわかる. 以上のことから,提案システムが有効に機能していることが確認できた. 4.おわりに 本研究課題では,「視界内の適切な場所に情報提示可能なインタラクティブ情報投影システム」の実現を目指し,「視界内における任意の場所への投影位置変更」及び「適切な投影場所の自律的な選択」の2点に関する研究を行った.また,その有効性を確認した. 今後の課題として,視界推定,投影位置決定,及びタッチ認識の精度をさらに向上させること,机上以外の位置への投影の実現,タッチ以外のアクションに対する認識,より多様な環境への対応などが挙げられる. 参考文献 (1) Jun-ichi Imai and Seiya Takihara, “Interactive Projection System that Follows User’s View Using Laser Pico-Projector and RGB-D Cameras,” Pro-ceedings of the 2nd Laser Display Conference (LDC 2013), LDCp4-10, 2013.4. (2) Jun-ichi Imai, “Three-dimensional Field of View Estimation in Occlusion-rich Environments,” Proceedings of the 11th IEEE International Conference on Cognitive Informatics & Cognitive Computing (ICCI*CC 2012), pp. 329-335, 2012.8. 投影画像 投影画像 投影画像タッチ2014 千葉工業大学附属総合研究所 プロジェクト研究年報          Project Report of Research Institute of C.I.T 2014      28

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