千葉工業大学 プロジェクト研究年報 2014年版
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ている。本研究では下水や河川水中からのこれらの指定薬物の多成分検出や定量化及び発生源解析方法の確立の第一段階として、合成カンナビノイドを含む指定薬物とそのいくつかの代謝物質を検出、定量目的対象物質とする(Fig. 1)。 作用薬物名取締法令興奮作用覚せい剤興奮作用メタンフェミン、アンフェタミン興奮作用コカイン興奮作用/幻覚作用MDMA幻覚作用LSD幻覚作用マジックマッシュルーム幻覚作用/抑制作用ヘロイン幻覚作用/抑制作用モルヒネ幻覚作用/抑制作用睡眠薬(向精神薬)計麻薬158種類、向精神薬80種抑制作用大麻大麻取締法抑制作用あへん(けしぼうず)あへん法ケミカルドラッグナチュラルドラッグ覚せい剤取締法麻薬及び向精神薬取締法(多くは試薬の名目で売られる粉末、錠剤系のもの)(観賞用やお香として販売される植物及び植物加工品)薬事法興奮/幻覚/抑制作用未指定(いわゆる脱法ドラッグ)興奮/幻覚/抑制作用ーTable 1 Information of designated drugs in Japan 3. パッシブサンプリング手法を用いた水中指定薬物の検出手法の確立 EUやアメリカではこのような違法ドラッグ(illicit drug)の下水や下水処理水、河川水、湖沼水中の調査が行われており、下水中の濃度は週末に高くなる傾向が報告されている2)。このようにこれら指定薬物の下水濃度の時間変動は使用者の使用パターンに大きく影響を受ける結果、非常に大きくなると考えられる。このような濃度パターンを示す物質の検出には従来のグラブサンプリング法では検出が困難であり、パッシブサンプリング法が有効である。そこで、本研究では、chemcatcher®ホルダー(Fig. 2)、親水性化合物の吸着に適するエムポアディスクSDB-RPS及びchemcatcher®専用ケージ (Fig. 3a)を使用したパッシブサンプリング法の適用を検討している。パッシブサンプリング手法の適用可能性は、ディスクの吸着特性に大きく作用される。そこで、現在、室内キャリブレーション装置(Fig. 3b)を用いたディスクの吸着特性評価を行っている。 4. パッシブサンプリング手法を用いた水中指定薬物の定量手法の確立 パッシブサンプリング手法は単に指定薬物の検出のみではなく、パッシブサンプラー設置期間における時間平均水中濃度(Time-Weighted Averageconcentration: TWA)を推定することもできる。そのためにはディスクの吸着特性として室内キャリブレーション試験によるsampling rate(単位時間当たりの吸着量)の把握のほかに、流速や水温、バイオフィルムの影響を加味した設置地点でのsampling rateを求めるための適切なPerformance Reference Compound (PRC)が必要となる。現在、室内キャリブレーション試験により、TWA算出のためのこれらの情報を収集している。 5. パッシブサンプリング手法を用いた水中指定薬物の排出源推定手法の確立 パッシブサンプリングによるTWAの推定が可能になれば、設置地点の設置期間平均流量を加味することで負荷量が計算可能となる。そこで、指定薬物の使用が推定され、下水道が設置されていない地域を集水域として含む河川や大都市における下水網にパッシブサンプラーを設置することで水中指定薬物の排出状況を把握するとともに、発生源の推定が可能と考えられる。 6.まとめ 本研究では、GC/MSを用いた指定薬物及びその代謝物質の分析手法を検討した。その結果、誘導体化を行うことで容易に分析できることが明らかとなった。平成26年度では、この分析方法を適用してパッシブサンプリングによるモニタリング手法を確立したい。 本研究に関する主な発表論文 (1) 亀田 豊、江橋俊彦(2014)パッシブサンプラーによる下水および河川水中指定薬物(脱法ハーブ)の多成分同時モニタリング手法の確立, 第22回環境化学討論会 参考文献 (1) 朝日新聞: 2013年3月23日記事 (2) Alexander, et al.(2011):Environmental International, 37, pp.612-621 Fig. 2 Chemcatcher® holder Fig. 3 Chemcatcher® cage (a) and Laboratory calibration equipment (b) 2014 千葉工業大学附属総合研究所 プロジェクト研究年報          Project Report of Research Institute of C.I.T 2014      24

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