千葉工業大学 プロジェクト研究年報 2014年版
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2.研究の内容 (1) SRzyme RNAとSRP19タンパク質の調製 既に報告されているS-domain RNAおよびハンマーヘッド型リボザイムの立体構造を重ね合わせ,S-domain RNAのthree way junctionの部分をハンマーヘッド型リボザイムに置き換えることによって,SRzyme RNAをデザインした(図2).次に,鋳型DNAを化学合成し,PCR法により増幅した後,試験管内転写合成法によってSRzyme RNAを調製した.また,大腸菌を用いた大量発現系によりSRP19タンパク質を調製し,Ni2+-NTAアフィニティカラムクロマトグラフィにより精製した, 図2 SRzymeの二次構造 (2) SRzyme RNAの機能解析 精製したSRzyme RNAにSRP19タンパク質を作用させ,SRzyme RNAの切断反応を調べた.切断反応用緩衝液(20 mM Tris–HCl (pH 8),50 mM NaCl,10 mM MgCl₂)に,SRzyme RNAとSRP19タンパク質のモル比が1:0,1:1,1:5になるように加え,37℃,1時間で反応させた後,10% 変性PAGEで切断活性を解析した.SRzyme RNAにSRP19タンパク質を加えると,SRzyme RNAのバンドが消失したが,ハンマーヘッド型リボザイムのような特異的な切断を確認できなかった. 次に,ゲルシフト法によりSRP19タンパク質とSRzyme RNAの結合を分析した(図3).結合実験用緩衝液(20 mM Tris-HCl(pH8),50 mM NaCl,5 mM MgCl₂)にSRzyme RNAとSRP19タンパク質のモル比が1:0,1:1,1:5に加え,37℃,30分で反応させた後,12% 非変性PAGEで解析した.S-domain RNAにSRP19タンパク質を加えた試料では,シフトした複合体のバンドが確認されたが,SRzyme RNAにSRP19タンパク質を加えた試料では,SRzyme RNAのバンドが確認されなくなった.S-domain RNAとSRP19タンパク質の相互作用解析から,調製したSRP19タンパク質がRNA結合活性を持っていることを確認できたが,SRzyme RNAのバンドが消失した原因を明らかにするには至らなかった.現在,SRzymeの配列を検討し,新しいSRzymeを調製中である. 図3 ゲルシフト法によるSRzymeの機能解析 3.まとめ SRzyme RNAをデザインして調製した後,機能解析を行ったが,ハンマーヘッド型のような特異的な切断活性を確認することができなかった.今後は,特異的な切断を確認できなかった原因を明らかにし,SRzymeを作成する予定である. 参考文献 (1) Hainzl T,Huang S,Sauer-Eriksson AE,Structural insights into SRP RNA : an induced fit mechanism for SRP assembly,RNA,11, 1045-1048,( 2005 ) (2) Murray JB,Terwey DP,Maloney L,Karpeisky A,Usman N,Beigelman L,Scott WG,The structural basis of hammerhead ribozyme self-cleavage,Cell,92, 665-673,( 1998 ) 2014 千葉工業大学附属総合研究所 プロジェクト研究年報          Project Report of Research Institute of C.I.T 2014      16

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