千葉工業大学 プロジェクト研究年報 2014年版
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図 3 計算値と実測値の比較 (出力電力と効率) 図 2 のコイルに関する回路定数ir,iL,ijM (jiji,~41,)と2C,3CをAgilent社のLCRメータ(E4980A)を用いて計測して,式(1)に代入後,出力電力1..caloutPと効率1.cal(=calincaloutPP../)を計算した。本研究では,コイル2Lと3Lを作成後に,共振周波数を2MHzとして,空気コンデンサ2Cと3Cを調整した。さらに,電気磁気学の理論式を用いてコイルの形状とコイル間距離からiL,ijMを計算し,代入した結果の出力電力2..caloutPと効率2.cal(=2..2../calincaloutPP)を求めた。 次に,自作したコイルと空気コンデンサを用いて図1に示す共振回路を用いた磁界結合型無線電力伝送システムを作成し,負荷抵抗を100 Ωとして実験を行った。計算結果と実験結果の出力電力expPと効率exp(=expexp/PP)を図3にプロットした。実験の概要を図4に示した。 図3は,本システムの距離に関する特性をよく表していることがわかる。ただし,コイル間距離が 50 mm 以下となる付近から,出力電力の計算値と実測値の差が広がる傾向にある。共振回路を用いた無線電力伝送システムの利点は中距離で効率が高いことにあるため,コイル間距離が近い場合に生じる計算値と実測値の差は実用上問題ないと考えられる。しかし, 図2の等価回路が適用可能な範囲に限界があることが明らかになった。 3.まとめ 本研究では, コイルの測定値を用いて出力電力と効率を計算した結果,コイル形状から自己・相互インダクタンスを理論的によって求め,同様の計算を行った結果,実際の無線電力伝送システムを用いてそれらを測定した結果の三者を比較した。この比較から,無線電力伝送システムを集中定数回路によって等価回路化可能であるが,コイル間距離によっては計算値と実測値の差が無視できない値になり得ることが分かった。今後,3D移動物体に対する無線給電システムを具体的に検討する予定である。 参考文献 [1] Kurs, Andre, et al, “Wireless power transfer via strongly coupled magnetic resonances”,science, Vol.317, no.5834, pp.83-86 (2007) [2] Wang, Chwei-Sen, Oskar H. Stielau, and Grant A.Covic, “Design considerations for a contactless electric vehicle battery charger” ,Industrial Electronics, IEEE Transactions, Vol.52, Issue.5 pp.1308-1314(2005) 図4 自作コイルを使用した磁気共鳴方式無線給電の実験 空気コンデンサ 空気コンデンサ 2014 千葉工業大学附属総合研究所 プロジェクト研究年報          Project Report of Research Institute of C.I.T 2014      8

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