千葉工業大学 プロジェクト研究年報 2014年版
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プトであるためである.実験は機関回転速度1500rpm一定で行い,動力性能のほか,排ガスはNOx,COについて測定し,副室,主室にピエゾ型圧力変換器(AVL GM12D)を取り付け,それぞれの燃焼圧を測定し,熱発生率を算出した. 5.実験結果および考察 副室に供給したノルマルヘプタンのみの当量比pre=0.05一定で,主室に供給するエタノール当量比を変えた時の機関特性を図1に示す.CO濃度は吸気温度(Tin)にかかわらずエタノール当量比の増加とともに低減し,エタノール当量比が小さいときには吸気温度が低いほうがCO濃度が高く,エタノール当量が高くなるとほぼ同程度となる.NOx濃度は吸気温度が低くなるほど高くなり,吸気温度が低い場合では,エタノール当量比の増加とともにNOx濃度は高くなる一方,吸気温度が高くなると逆に低下する.また,吸気温度が高いほうがNOx濃度は低く,特に吸気温度130℃の場合では一般的なHCCI燃焼とほぼ同程度と低くなっている.正味熱効率および正味平均有効圧はエタノール当量比の増加とともに高くなるり,吸気温度が高いほうが,正味熱効率は高い. エタノール当量比0.35,ノルマルヘプタン当量比pre=0.05の場合における熱発生率を図3に示す.熱発生率パターンは着火後低い熱発生率の後,ピークの高い熱発生率を示している.着火後しばらく続く低い熱発生は副室で,その後のピークの高い熱発生は主室での燃焼とそれぞれ考えられる.主室での燃焼と考えられる熱発生率パターンはほぼ二等辺三角形を成し,このパターンは通常のHCCI燃焼と同様となっており,これは既報(1)において提案した副室式HCCI燃焼が実機においても実現可能なことを示している.すなわち,主室での燃焼は吸気温度が高くなるほどピークが高くなり,また,NOx濃度は吸気温度が高いほど低く,130℃の場合では通常のHCCI燃焼とほぼ同等となっており,本燃焼方式での燃焼コンセプトは実現可能であることは明らかである. 6.まとめ 試作した単気筒機関において副室式HCCI燃焼の燃焼コンセプトは実現可能であることがわかった.今後,本燃焼方式が運転できる運転領域,および,熱効率向上と排ガス低減が両立する運転条件を明らかにする. 参考文献: (1)佐々木他2名,機論,79-800,No.2012JBR0893,p.636-648 010002000300040005000COppm020406080100NOxppm051015202530Break Thermal Efficiency%0501001502002503003504000.10.20.30.40.50.6BMEPkPaEthanol Equivalence RatioTin = 90˚CTin = 110˚CTin = 130˚Cpre= 0.05図2 機関特性 図3 燃焼経過 -1001020304050607080-30-20-1001020304050Rate of Heat Release J/degCrank AngledegMain= 0.35Pre= 0.05Tin = 130˚CTin = 110˚CTin = 90˚CCombustion in Main ChamberCombustion in Pre-chamber2014 千葉工業大学附属総合研究所 プロジェクト研究年報          Project Report of Research Institute of C.I.T 2014      6

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