千葉工業大学 プロジェクト研究年報 2014年版
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3. 実験結果及び考察 3.1翼厚による性能の変化 図3から,θ=15°の時にパワー係数Cpが最大となることがわかる.また,θ=5°~15°の範囲では周速比λ>1でCpが極大値となる.λ>1の範囲でパワー係数が極大となるのは揚力型風車の特徴である(2).一方でθ=20°~25°の範囲ではλ<1でCpが極大値を持ち,この範囲では抗力によって回転していると考えられる.これはθが過大であるために翼の外周側において流れがはく離し,回転に必要な揚力が発生せず,翼に作用する抗力によって回転してしまったためであると考えられる.以上のことから,θ=5°~15°の範囲で全体的に高性能となったと推定できる. また,他の取り付け角と比較するとθ=15°の場合,Cpが極大値となる付近の特性が比較的平坦である.これは揚力による回転と,抗力による回転の二つの要素が現れているためであると考えられる.これを説明するための概念図を図4に示す.以上の性能試験によって翼の最適な取り付け角が判明した.また取り付け角を大きくすると,効率が著しく低下することも明らかとなった. 3.2翼端板による性能の変化 翼端板を取り付けることによって発生する揚力の向上を期待できる.このときの取り付け角は,最大パワー係数を発生させた条件であるθ=15°とした.実験結果を図5に示す.図5によれば,h=61.5mm の翼端板をつけたものがパワー係数最大となっている.また得られた最大周速比も大きくなっている.一方,h=92.8mm 及びh=123.7mmを取りつけたことによって,性能が低下してしまった.上述の二つの性能曲線は同様の傾向を示すことが確認できる.また,最大周速比の低下も確認できる.以上の結果から,翼端板には最適な長さが存在することが明らかとなった. 4.まとめ 本実験より,以下のことがわかった. (1) 製作したジャイロミル型風車は,翼の取り付け角がθ=15°の時に最大パワー係数を発生した. (2) 取り付け角がθ=5°~15°の間では,回転に必要な揚力が発生するが,θ>20°では翼に十分な揚力が発生しないため性能は低下した. (3) 翼端板はh=61.5mmを取り付けたときのみ,取り付けない場合と比較して効率が向上した. (4) h=92.8mm 及びh=123.7mmの翼端板を取り付けた場 合,効率は取り付けない場合と比較して低下した. 参考文献 (1) 松本・牛山・西沢,垂直軸風車製作ガイドブック,パワー社,pp.13およびpp.25 (2011). (2) 山田・田村・望月・西川,日本機械学会2013年度年次会講演論文集,pp.90 (2013). 図3 性能試験結果 図4 揚力による回転と抗力による回転(概念図) 図5 性能試験結果(翼端板付き) 2014 千葉工業大学附属総合研究所 プロジェクト研究年報          Project Report of Research Institute of C.I.T 2014      4

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