千葉工業大学 プロジェクト研究年報 2014年版
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1.はじめに HIV感染拡大は、流行地域だけでなく世界視点で取り組み解決していくことが重要課題である。そのため、HIV感染拡大阻止にはエイズワクチンの開発が鍵となる戦略である。しかし、予防感染効果を有するエイズワクチン開発には至っていないのが現状である。近年, 筆者等はワクチンベクターとして研究されているバキュロウイルスが生体内にて抗原提示細胞である樹状細胞を介した免疫賦活効果があること、さらに、がんの治療として有用であると報告した (1,2)。そこで、本研究ではバキュロウイルスで発現させたgag-VLPおよびHIV-1 gag発現組換えバキュロウイルスをマウス骨髄由来樹状細胞(BMDC)へ感染させ、自然免疫および適応免疫応答を評価し、エイズワクチンとしての新規HIV-1 gag発現バキュロウイルス感染樹状細胞ワクチンの開発を目指す。 2.研究内容 はじめに、pAcCAGgagとpAcPh-gp64-gagバキュロウイルストランスファーベクターを用いて、組換えバキュロウイルスrBV (Ac Ac/HIV-1-gag) を作製した。作製したrBVをヒト樹状細胞((未熟-MDDCs)に感染させ、Gagタンパク質の発現をウエスタンブロットにて確認したところ、rBV感染MDDCsのみGagタンパク質の発現が認められた。 つぎに、Ac/HIV-1-gagのMDDCsへの感染を蛍光顕微鏡で観察したところ、Ac/HIV-1-gag感染24時間後にanti-Gag mAbで処理したところHIV-1-gagの発現が確認できた(図1)。これらの結果からAc/HIV-1-gag がヒト抹消単核球由来樹状細胞にも感染することが明らかとなった。さらに、Ac/HIV-1-gagにより活性化された共刺激分子 (CD-80, CD-86, MHC-I and MHC-II)の発現をFACSにより解析したところ、CD-86, MHC-I、MHC-IIの発現が確認でた。一方、ELISAにて培養上清中のサイトカインIL-6、IL-12p70及びIFN-の産生が認められた。特にCD-86とMHC-IIが強く発現していた事からエイズCDワクチンとしての応用が期待できる。 そこで上記の結果を基にAc/HIV-1-gag感染 MDDCsとPBMCsの共培養下におけるHIV-1の 図1.Ac/HIV-1-gagの感染ヒトMDDCs内でのgagの発現確認(オールインワン蛍光顕微鏡装置で観察)。 図2.Ac/HIV-1-gagの感染ヒトMDDCsとPBMCsとの共培養における抗HIV-1活性。 研究項目: 研究科特別経費 研究期間: 2012/4/1 ~ 2014/3/31 研究課題名(和文): HIVの感染防止、AIDS発症防止に関する免疫学的基礎研究(エイズ樹状細胞ワクチンの開発) 研究課題名(英文): A dendritic cell–based vaccine elicits the innate immune responses associated with control of HIV-1 replication 研究者:(○;研究代表者) ○ 高久 洋 千葉工業大学 黒埼 直子 千葉工業大学 TAKAKU Hiroshi 工学部 生命環境科学科 教授 KUROSAKI Naoko 工学部 生命環境科学科 教授 phaseUVDapiI.F : anti-Gag mAbControl DCDC +VLP2014 千葉工業大学附属総合研究所 プロジェクト研究年報          Project Report of Research Institute of C.I.T 2014      119

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