千葉工業大学 プロジェクト研究年報 2014年版
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Ionized Gases (Granada, Spanish) PS3-008 (2013) 2.3 各種材料表面におけるオゾンの消滅率 密閉容器中におけるオゾン密度の時間的減少をHgI 253.7 nmのO3による光吸収を利用して測定し,その時定数,即ちオゾンの実効寿命のガス圧力依存性からオゾンの容器壁面における消滅過程を検討した(1).測定法は,HgI の光源である低圧水銀ランプから放射される紫外(UV)光強度が室温等の変化により変動し,安定した測定ができないことがしばしばあったので,このような外乱を除去して,安定した測定ができるように装置を改良した簡易ダブルビーム法を用いた(2).今回はオゾンを封入する光吸収セルの材料にアルミニウム(A6063-T5)を用いて測定したところ,ステンレス鋼と比べ,アルミニウムのオゾン実効寿命は 1桁近く小さい値になった(3). (1) Haruo Itoh, Ilko M. Rusinov, Susumu Suzuki and Tooru Suzuki: “Variation of Ozone Reflection Coefficient at a Metal Surface with its Gradual Oxidation”, 2, pp.227-231 (2005) (2)H.Itoh, I.Rusinov, K.Omiya and S.Suzuki: “Improvement of a Measurement System for Surface Loss Rate of Ozone”, Ozone: Science & Engineering, Vol.34, pp.1-8 (2012) (3) 山梨, 矢萩,勝又, 鈴木,伊藤: “アルミニウムセル中のオゾン消滅率”,平成26年電気学会全国大会講演論文集, 1-63 (2014) 2.4 負イオンの移動度測定 大気圧を含む高気圧O2中の負イオン移動度測定を,高ガス圧下での測定が可能である負イオン検出器に針対平板電極を使ったイオンドリフトチューブを用いた方法により行っている(1)(2).このような高気圧O2中の負イオン移動度測定では,吸着ガスやボンベガス中に存在するCO2やH2Oの不純物により形成されるクラスターイオンの移動度が測定結果に影響し,移動度が変化することがわかってきた(2).中でもH2Oによるクラスターイオンの影響は大きいようであるが,H2O濃度とO2中の負イオン移動度との関係については報告されていない。そこで,今回は1) O2を流量0.5 l/minで流しながら水分濃度と共に移動度を測定した結果,2) O2をチェンバー内に封入しながら移動度を測定し,ガス流しによる移動度の影響を検討した.その結果,H2O濃度の増加と共に移動度は減少する傾向にあることがわかった(3). (1) Y. Okuyama, T. Kimura, S. Suzuki and H. Itoh: “Measurement of negative ion mobility in O2 at high pressures using a point plate gap as an ion detector”, J. Phys. D, Vol. 45, 195202 (10pp) (2012) (2) 奥山,鈴木,伊藤: “O2 中の負イオン移動度と不純物の影響”, 電学論A, 133, pp.578-584 (2013) (3) 奥山,鈴木,林,伊藤: “高気圧中負イオン移動度測定-O2中のH2Oによる負イオン移動度の減少-”, 平成26年電気学会全国大会講演論文集, 1-37(2014) 2.5 パルス放電による難分解性物質の分解 放電化学処理にパルス放電プラズマによるオゾン生成や難分解性物質の分解等の研究が行われている.これまで,パルスパワー電源が発生する速い立ち上がりと短いパルス幅の電圧を用いて,難分解性物質であるフミン酸の分解実験を行ってきた(1)(2).分解方法は,気泡内パルス放電であり,原料ガスとしてはArを使用した.また,分解方法の比較としてオゾンバブリング,紫外線照射による分解実験も行った.分解指標として,吸光度,有機炭素濃度,腐植化度を選択し,前述の分解処理における評価を行った.その結果,Ar気泡内放電において最もフミン酸の分解が行われていることが,これまで行ってきた He, O2, N2気泡内放電の結果と比較して確認された.その要因としてアルゴンエキシマからのVUV光(126 nm)の存在が考えられる. (1) 布川, 六角, 鈴木, 矢沢, 伊藤:“気泡内パルス放電によるフミン酸塩の吸光度の減少”, 電学論A, 132, pp.664-669 (2012) (2) F.Fukawa, K.Rokkaku, K.Teranishi, N.Shimomura, S.Suzuki and H.Itoh: “Pulsed Discharge in Helium, Nitrogen and Oxygen Bubbles in Humate Solution”, IEEE Transactions on Plasma Science, 39, pp.2662-2663 (2011) (3) 布川, 佐藤, 小田,鈴木, 伊藤:“アルゴン気泡内パルス放電によるフミン酸塩の分解”,平成26年電気学会全国大会講演論文集, 1-170(2014) 3.競争的研究資金申請状況 本フォーラム構成員が新規に下記研究課題で競争的研究資金を申請中である。 ・研究課題名: 大気圧ハイドロカーボンプラズマCVDによるDLC成膜技術開発に関する基礎研究(基盤研究(C)) 研究代表者: 小田昭紀 4.まとめ 放電プラズマに関連した各個人の今後の研究についての有益な情報交換の場として多いに活用できた. 2014 千葉工業大学附属総合研究所 プロジェクト研究年報          Project Report of Research Institute of C.I.T 2014      101

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