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研究・社会連携

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次世代ペプチド開発研究センター








所長
山本 尚
Hisashi Yamamoto
Freedom from Serendipity
創薬の未来が今、ここに。


人間の体の約20%はたんぱく質でできており、そのたんぱく質は20種類のアミノ酸から成り立っています。ペプチドとは、こうしたアミノ酸が結合した分子のことで、どのアミノ酸がどれだけ結合するかによって、さまざまな異なる特性を発揮します。こうしたペプチド合成技術は広く創薬に活用されていますが、その技術の大半は過去、偶然に発見されたもので、科学的に最も有効だと検証されて編み出されたものではありません。

例えば、有名なアスピリンはギリシャ時代に柳の木の木汁が体温を下げることや、鎮痛に効くことが経験的に知られており、その後精製が進み、純度の高いアスピリンが生まれました。つまり、もととなるペプチドは偶然に見つかったもので、科学的に探し出されたものではないのです。

人間の体を構成するアミノ酸は20種類ですが、さらに人工的につくられたアミノ酸が50~60種類あります。これらを結合させる組み合わせは無限に存在するといってもいいほどです。あまりにも多くの組み合わせが存在するためにこれまで誰も検証できず、実はどのアミノ酸の配列が最も有効なのかは、解明できないままでいるのです。組み合わせや合成の方法によっては、より良いものが存在するのは明白ですから、一層の取り組みが求められます。

私たちはより有効なペプチドを探し出すために、アミノ酸の組み合わせを検証し続けています。基本となる合成技術は、私が中部大学で開発しました。さらに、千葉工業大学の次世代ペプチド開発研究センターでは、無限ともいえるアミノ酸の組み合わせをロボットを用いて検証しようと考えています。

これは世界で初めての研究です。すべての組み合わせを検証するには、数年はかかると思われますが、科学的に検証し最適なアミノ酸の配列がわかれば、それを応用し今より良い薬がつくれるはずです。この技術は、今までの創薬の考え方を根底から覆すものになります。そして、今、世界中の人々が苦しんでいるあらゆる病気の治療に貢献することになるに違いありません。さまざまな製薬会社とも共同研究を進めていく方針です。

本センターから、科学と工学の融合が始まります。科学と工学が融合することで科学の進化は飛躍的に加速します。そして、ここから新しい創薬の未来が開かれるのです。