• トップページ
  • 労組運動から改革に意欲 夢を持ち続ける学生になれ!!

※本文中の役職等は取材当時のものです。

労組運動から改革に意欲
夢を持ち続ける学生になれ!!

世界中に”日野”を―と語る湯浅社長
世界中に”日野”を―と語る湯浅社長

日野自動車工業(株)社長

湯浅 浩(ゆあさ ひろし)氏 

 24年間連続して普通トラックの国内トップシェアを握る「日野自動車工業」。昨年、トヨタ自動車との資本関係を一段と深めるとともに、小型商業車の本格生産に拍車をかけるなど、総合トラックメーカーを目指して全力疾走中だ。

 湯浅浩氏は、昭和35年、本学機械工学科を卒業後、日野自動車工業に入社。開発、生産管理、人事畑を歩み、昨年の6月、常務から14人抜きの抜擢で社長に就任した。組合役員を通算5年務め、このうち2年間の労組委員長の体験を背景に、取締役・人事部長時代には能力評価を重視した賃金制度を導入した。

 「入社して8年間は研究に携わり、その後労働組合専従への出向となったときには、会社を辞めようと思い悩みましたよ。この時、書きためていたシナリオをある出版社に応募したところ、私の『青い地球』が最終選考の5作のひとつにノミネートされてね。物書きとしてメシが食えるかも・・・なんて、いい気になっていたら、やっぱり・・・でした」。しかし、このシナリオを書くという作業は、後に大いに役立った。まずシナリオを頭の中で組み立て、それに沿って交渉を行っていくうち、労組運動の改革に意欲が湧いて来たというのだ。

 大学時代はひょんなことから学生自治会長に。大学祭やら何やらの行事が年に2~3回あるだけ・・・のはずが運悪く学園騒動が起き、大学存亡の危機に直面して身も心もボロボロになった。そんな時に運命的な出会いをし、励ましてくれたのが奥様の光子さん。

 夫婦での海外旅行が趣味で、年末から正月にかけての休みと夏の休暇を利用して出掛ける。初の海外旅行は、日野トラックが参加したパリ・ダカールの応援を兼ねてパリへ。以来、年2回のペースで実行している。

 在学中の工大の印象は、先輩にも同級生にも、かなり個性的な学生が多かったこと。それに比べ、昨今の学生は偏差値という篩にかけられ、同じつぶの学生が集まる傾向にある。大学でも、まあまあ勉強して社会へ・・・という学生が多いのでは?本来大学は自ら学ぶことの出来る最高の場所。自分の好きな何かを見つけてとことんやり抜いて欲しい。企業に入ってからも、単なる設計労働者になるのではなく、あくまでも夢を持って仕事を続けて欲しい。

 私の夢ですか?「世界中に日野のトラック、バスを走らせることですよ」

NEWS CIT 1998年3月号より抜粋