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2022.9.15

中高生招きロボ・ツアー


未来の科学者育成プログラム
 「ロボットと暮らす未来社会&ロボ研究室ツアー」が8月23日、津田沼キャンパスで開かれた。科学に関心を持つ中高生のために、千葉市教育委員会が未来の科学者育成プログラムに従って学習機会を提供し、本学が協力している。
 第1部は先川原正浩・未来ロボット技術研究センター室長による講演「ロボットと暮らす未来社会」。先川原室長は、未来のロボット社会がどうなるのか最新ロボット事情を紹介。本学の災害対応ロボットの被災地での活躍ぶりも紹介した。
 第2部は未来ロボティクス学科の研究室ツアー。王志東研究室や林原靖男研究室、米田完研究室=写真=の学生らが、企業と連携開発したロボットやロボカップ世界戦出場の自律型サッカーロボ、深度学習で人間を認識するロボ、小型ドローンなどの仕組みを披露し、一部操縦体験も行われた。
 生徒たちは「ドローンの前後の動きなど詳細な仕組みを知ることができた」「大学生の技術が企業で使われていると知ってびっくりした」「世界戦に出場したサッカーロボを実際に見て、自分で考えて動いていることに驚いた」などと感想を語った。

空中多面体で自然を体感


建築・遠藤研が子どもたちと
 建築デザインの可能性を追究する建築学科・遠藤政樹教授の研究室の学生・院生ら23人は7月中旬〜8月26日、船橋市のふなばしアンデルセン公園に「空の青さ、感じてまSky?〜空疑似体験感情誘導装置」=写真=を作り、夏休みの子どもたちと自然を体感した。
 公園に組み立てたのは、塩ビの柱を土台に、宙に浮かんで見える大型多面体(テンセグリティ)。ミラーシートが貼られ空などが映る仕掛けで霧吹き装置も備えた。
 テンセグリティから湧く霧が漂い、ミラーシートには刻々変わる空や、水、土の映像が流れ、子どもたちは自然の変化を体感した。鏡面に貼る絵のワークショップでは、学生たちが3人ずつ交代で子どもたちの描画を手伝い、宙に浮かばせた。
 今回は研究室の鈴木泰子さん(建築学専攻修士2年)と小山翔太さん(同1年)をまとめ役に、構造物の可能性に挑戦した。遠藤教授は「23人で一つの作品。全員の力を結集して子どもたちや自然を巻き込み、可変性の高いデザインを目指した」と話している。

デジタルスキル継承を


角田教授、ビジネス誌で提言
角田教授
角田教授
 ビジネス月刊誌「Wedge」が特集する「デジタル時代に人を生かす 日本型人事の再構築」で、金融・経営リスク科学科の角田仁教授が「大企業は知識技能のアップデートを図るときだ」と提言した対談が同誌4月号に掲載された。
 記事タイトルは「迫る『2025年の崖』 企業はレガシーシステムの刷新を」。2025年の崖とは、経済産業省が18年9月に「DXレポート」で公表した造語。大手企業の基幹システムの約6割は高度経済成長期の80〜90年代に作られたが、当時30〜40歳代で技術を担った団塊世代が25年には定年を迎える。
 デジタル時代なのに、老朽化した複雑な基幹系システム(レガシーシステム)がトラブルを起こしてもシステム構築当時を知る者がいなくなり、機能不全に陥る危険が――。経産省は年間最大12兆円の経済損失が生じかねないとしている。
 この問題に、角田教授は、多くの企業経営者はレガシーシステムの刷新に及び腰と指摘。今のIT人材は保守運用を重点に割かれ、問題発生時にはシステム開発側の解決に期待して問題を先送りしているとした。
 だが、日本には「会社が人材を育てる文化」があるので、今からIT技術者の養成やシステム開発企業からの人材シフトを大規模に行い、基幹系システムの刷新と、知識とスキルの継承を図るときだ、と提言している(記事はhttps://wedge.ismedia.jp/articles/-/26216に公開)。

32人の新スタート祝福


秋季卒業式・入学式 挙行
津田沼校舎1号館20階で行われた学位記授与式で式辞を聞く卒業生たち
津田沼校舎1号館20階で行われた学位記授与式で式辞を聞く卒業生たち
 令和4年度の秋季学位記授与式と入学式が9月13日、津田沼校舎1号館20階で行われ、卒業生26人、新入学生6人の計32人が新スタートした。
 卒業生は学部21人、大学院修士課程4人、博士課程1人で、午前10時から学位記授与式が行われた。
 学部卒業生代表の情報工学科・長谷川歩香さん、博士前期課程及び修士課程修了生代表の先端材料工学専攻・津守黎さん、博士後期課程学位取得者の工学専攻・西山枝里さんらが緊張した面持ちで松井孝典学長から学位記を受け取り、所属研究室の教員が見守った。
 松井学長は「卒業とは学びを終えることではなく、学びの新たなスタートといってもいいでしょう。皆さんには、これまで学んだ工学を基盤に幅広い分野を学び、社会の中で『知の流れ』を生み出し、人類の発展に寄与していただきたいと願っています。今後の皆さんのご活躍を大いに期待したい。ご卒業おめでとうございます」と、祝福の言葉を贈った。
 午後2時からは秋季入学式が行われた。入学生は大学院修士課程の情報科学研究科に1人、社会システム科学研究科に1人。博士後期課程は工学研究科3人、社会システム科学研究科1人。
 新入生たちは松井学長や瀬戸熊修理事長、式典に参加した教員らに「入学おめでとう」と言葉をかけられ、新たな一歩を踏み出した。

テラヘルツ双方向無線に成功


世界初 枚田教授ら日欧共同研究
 データ通信で5Gを超えるBeyond5G/6G時代へ向けて、早稲田大(統括)、千葉工大(枚田明彦・情報通信システム工学科教授=写真)、岐阜大、日本電気(株)、高速近接無線技術研究組合の国内5機関と欧州の7研究機関は6月29日、実際のネットワークに接続可能な装置を使った300ギガヘルツ帯の双方向リアルタイム伝送実験に成功したと発表した。
 双方向でテラヘルツを超す無線伝送の実証は世界初。日欧の国際産学共同研究が実を結んだ。
 移動通信システムの基地局を接続する際は大容量なので通常、有線の光ファイバーで直接結んでいる。しかし、将来のBeyond5G/6Gでは莫大な数の基地局が必要となるため、その一部を高速でテラヘルツをこなす無線で担うことが期待されている。
 実験はドイツ・ブラウンシュヴァイク工科大の構内で、実際の双方向通信ネットワークに接続可能な無線伝送装置(伝送距離160メートル)を使って行われた。帯域幅を拡張すれば、さらに高速化も可能という。本学の枚田教授は、一連の研究でテラヘルツアンテナ・伝搬の評価を担当した。
 今後、日本側は屋外用の小型テラヘルツ無線伝送装置を開発。さらに複数のテラヘルツ装置を連携させて、悪天候でも安定的な高速データ伝送を可能にする技術の開発を目指す。
 今回の実験は、日欧の「大容量アプリケーション向けテラヘルツエンドトゥーエンド無線システムの開発」(2018年7月〜22年6月)の一環として行われた。欧州側はブラウンシュヴァイク工科大のほかドイツ、チェコ、フランス、イスラエル、イギリスの研究所、大学など7機関が参加した。