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2022.9.15

3度目の世界一


CIT Brainsロボカップ‘22バンコク大会
 本学未来ロボティクス学科を主体に有志で組織するヒューマノイドロボット開発チーム「CIT Brains」は7月11〜16日、タイのバンコク国際貿易展示場で開かれたロボカップ2022世界大会に出場、ヒューマノイドリーグ・キッドサイズ部門のサッカー競技で優勝した。コロナ禍でオンライン開催に移行していた競技は、3年ぶりに実機戦が復活。実機での本学の世界1位は2014年、15年に続き3度目。
世界戦に勝利した現地メンバーたち。後列左端は林原教授
世界戦に勝利した現地メンバーたち。後列左端は林原教授
キッドサイズサッカー実機戦
優勝が決まった瞬間
優勝が決まった瞬間
 ロボカップは、タイのチャイウット・タナカマヌソーン・デジタル経済社会相らが視察に訪れる中、繰り広げられた。
 CIT Brainsはサッカー競技だけでなく、4チームが1つのチームを作り協力して得点を競う「ドロップインチャレンジ」でも優勝。技術力を競う「テクニカルチャレンジ」では3位に入賞し、ベストヒューマノイド2位を受賞した。
 今回、キッドサイズ部門(4機対4機)には10カ国11チームが参加。CIT Brainsは準決勝まで各試合を10点以上の大差で勝利。決勝戦ではフランスのRhobanと対戦し3―1で勝利した。4チームが協力して戦うドロップインでは33ポイントを獲得し、2位に31ポイント差で圧勝した。
 勝因としてチームリーダーの神戸隼さん(未来ロボティクス学科4年)は①壊れないロボット②ソフトウエアの高度化③試合戦術――を挙げる。
 今大会のロボットは昨年から学部生だけで開発した。設計から製作まで担当した久保寺真仁さん(ロボ4年)によれば「相手のロボットとぶつかって、どの方向に倒れても衝撃を吸収できるようにするなど『壊れないロボット』を作ることを主眼に置いた」。その結果、コロナ禍で半導体などの電子部品が手に入りにくい状況でも工夫を重ね、ロボットを作ることができたという。
 他チームを凌駕したのは試合戦術。新ロボットは関節の可動範囲が増えたことで、ボールを斜めに蹴ることができるようになった。そこで、CIT Brainsはあえて決勝戦まで斜めキックを封印。決勝で斜めキックを「隠し球」として多用し、勝利の決め手とした。
 チームをサポートする林原靖男・未来ロボティクス学科教授は「今回メンバーは全員、世界大会未経験でしたが、コロナ禍でも気持ちを前向きに保ち、勉強会や開発を続けてきました。また、栄冠を勝ち取れたのは、学生を手厚くサポートする千葉工大の環境があったからこそ」という。
 ロボカップは第1回世界大会が97年に名古屋市で開催されて以降、毎年、世界各国で開かれてきた。しかし、コロナ禍の影響で一昨年、昨年と実ロボットに代えてオンラインでのシミュレーション競技の形で2021年に世界大会とオープン大会が開かれた。
 CIT Brainsは06年のチーム結成以来、毎年ロボカップに挑戦。14年ブラジル、15年中国大会のキッドサイズ部門で優勝。16、17、19年は同部門で3位に入賞している。
 オンライン開催の昨年6月大会では、ヒューマノイドリーグ・ベストロボットモデルで2位。昨年12月〜今年4月にオンライン開催されたオープン大会では優勝している。
 (CIT Brainsの活動はhttp://www.cit-brains.net/を参照)
今回臨んだ新しい機体のロボットたち 日本で観戦する仲間も優勝に拍手
今回臨んだ新しい機体のロボットたち 日本で観戦する仲間も優勝に拍手
今回の現地メンバー(敬称略)
 チームリーダー・神戸隼(未来ロボティクス学科4年)▽桑野雅久(未来ロボティクス専攻修士1年)▽佐藤暖、横尾陸、久保寺真仁、川鍋清志郎、井上叡、三渕優太、野口裕貴(以上未来ロボティクス学科4年)▽小川晴生、西尾唯右吾、森圭汰(以上同学科3年)▽長峰拓也(同学科2年)

瀬戸熊理事長にモンゴル国家勲章


教育・研究交流で功績
瀬戸熊理事長(左)の胸元に輝く北極星勲章。右はバッチジャルガル大使
瀬戸熊理事長(左)の胸元に輝く北極星勲章。
右はバッチジャルガル大使
 瀬戸熊修理事長が、モンゴルとの教育交流に功績があったとしてモンゴルから国家勲章を受章した。9月20日、モンゴル国大使館(東京都渋谷区神山町)で叙勲式があった。
 叙勲式では、受章についてオフナー・フレルスフ・モンゴル大統領の法令が読み上げられ、バッチジャルガル特命全権大使から理事長に、外国人に綬与される最高章「北極星勲章」が贈られた。モンゴルと日本は外交関係樹立後50年。節目の年の受章となった。
 瀬戸熊理事長はモンゴル工業技術大との連携を皮切りに、新モンゴル学園、モンゴル科学技術大、モンゴル国立大と、次々に本学との協定締結を主導し、モンゴルの学生・研究者を支援。研究活動では、本学惑星探査研究センターとモンゴル工業技術大、モンゴル科技大が連携して成層圏へのバルーン放球実験などを行っている。
 また、モンゴル写真展を開催したり、民族楽器・馬頭琴の演奏会を開くなど、モンゴル文化を広める活動にも積極的に取り組んでいることが評価された。

テラヘルツ帯近接通信で受賞


熊木さん 国際会議iWEMで
 電磁気学の国際ワークショップ「2022 IEEE International Workshop on Electromagnetics: Applications and Student Innovation Competition(iWEM2022)」は8月29〜31日、本学津田沼校舎2号館で開かれ、熊木智大さん(情報通信システム工学専攻修士1年、枚田明彦研究室=写真)が発表した「120-GHz-band Close Proximity Wireless Communication Using Metamaterial Integrated Glass Substrate(メタマテリアル集積ガラス基板を用いた120ギガヘルツ帯近接無線通信)」がStudent Awardを受賞した。
 枚田研では超高速の無線通信システムについて研究を行っている。無線LANには端末数の増加によるアクセス集中、アクセスポイント同士の電波干渉などの問題がある。
 熊木さんは、誘電体基板に端末を置くことによりLAN接続を可能にする接触通信を検討。テラヘルツ波を導波管に伝搬させ、導波管の一部をSRRと呼ばれるメタマテリアルを集積したガラス基板に置き換えることで、端末を乗せていないときは電波の損失を抑え、端末を乗せたときはガラス基板から接触した誘電体導波路にテラヘルツ信号を導波する方法を検討した。
 国際会議iWEMはIEEE(米電気電子学会)が支援し台湾、中国、香港、日本で順番に開催している。今回は長敬三・情報通信システム工学科教授が共同委員長を務め、本学で開かれた。
 熊木さんは「国内外の学生の中から賞に選ばれ、大変うれしく思います。枚田教授や研究室の方々のおかげです。今まで以上に研究に励んでいきたいです」と語った。