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2022.9.15

国内初 本学が発行


学修歴証明をNFTで
 本学は8月18日、株式会社PitPa(本社・東京都渋谷区、石部達也代表取締役)と共同で、ブロックチェーン技術を使った学修歴証明書の発行を始めたと発表した。偽造や改ざんが難しいブロックチェーン技術を活用して、譲渡不可能なNFT(非代替性トークン)という形式のデジタルデータとして証明書を発行するもの。学修歴証明書をNFTで発行するのは国内初。
web3時代へ就職援護
■NFT(Non Fungible Token)
 代替が不可能なブロックチェーン上で発行されたデジタルデータのこと。ブロックチェーンは、台帳に記録することによりデータ改ざんができない仕組みがあるため、単位修得情報をブロックチェーン上に書き込むことで、偽造できない証明書を発行することが可能になった。
証明書を郵送で取り寄せる手間もなく、さまざまなプラットフォームに簡単に接続し、「公式な」学びの成果をワンストップで世界中にアピールすることが可能となる
▲証明書を郵送で取り寄せる手間もなく、さまざまなプラットフォームに簡単に接続し、
「公式な」学びの成果をワンストップで世界中にアピールすることが可能となる
■証明書㊤のデザイン
 課題授業を履修した安松菜奈さん(デザイン科学科4年=写真)が担当した。千葉工大生の真面目さが、波紋のように世界へと影響していく様子を表現したという。
伊藤センター長が実現
 第1弾のNFT学修歴証明書は、変革センターの伊藤穰一センター長による授業「気づきの原則」と、武邑光裕主席研究員による「メディアと文化」を履修し単位を取得した者に対して発行された。
 学修歴証明書は、従来なら紙での発行が一般的だ。就職・転職活動で証明書が必要な人は出身校に証明書の発行を依頼し、企業などに提出する。企業がそれが本物かどうかを判断する確実な方法は、学校側に問い合わせることだが、時間がかかり利便性にも欠ける。
 本学は、ブロックチェーン技術の活用が一段と進むだろう分散型ウェブの世界、いわゆる「web3」時代を見据えれば、NFTによる証明書の発行が学生に対し、急務かつ重要なキャリア支援のツールになると判断した。
 web3時代とは、グーグルやアップル、アマゾン、メタ(旧フェイスブック)など巨大ハイテク企業が情報を独占するWeb2時代(現在)の次に到来が予想される時代のこと。ブロックチェーン技術により「情報を個々人が分散管理する時代」と定義される。
 web3時代には学生の就職活動そのものが変容し、特定の知識や技能を求めて世界中から人材を獲得する「ジョブ型雇用」が活発になると予想される。
 特に本学が多く送り出す技術・エンジニア職は web3時代に大きく市場価値が上がるといわれており、学生が学びの成果をワンストップでアピールできるNFT証明書により、ジョブ型にいち早く対応する狙いがある。
 伊藤変革センター長は「学位は、ブロックチェーンに最も適したアプリケーションのひとつ。今回のプロジェクトを推進できたことに興奮を覚えます。これをきっかけに他の大学も使ってくれるとうれしいですね」と話している。
 本学では今後、学修歴証明だけでなく、学士・修士・博士の学位に関する証明や、社会人向け講座の修了書など、各種証明書のNFT化を進めるほか、他大学や企業にも利用を拡大することで、社会全体のDX(デジタル・トランスフォーメーション)推進に貢献していく方針だ。
■(株)PitPa(ピトパ)
 ポッドキャストを活用した企業のメディア戦略を支援する制作事業と、web3を活用した透明性と信頼性を担保する証明書発行事業を行う。

松崎教授にイグ・ノーベル賞


デザイン科学科
松崎教授。手前は実験に使った円柱型つまみ各種のイメージ
松崎教授。手前は実験に使った円柱型つまみ各種のイメージ
 デザイン科学科の松崎元教授が「人々を笑わせ、考えさせた研究」に与えられる今年のイグ・ノーベル賞「工学賞」を受賞した。論文発表当時の指導教官4人も共同受賞した。円柱形つまみの回転操作と指の関係を解明し、生活用品のデザインに役立てようとしたもの。
 授賞式は毎年9月、米ハーバード大で行われるが、新型コロナ禍でオンライン開催に移行。9月16日、授賞の発表が世界に配信された。日本人のイグ・ノーベル賞受賞は16年連続。(詳報は10月号に)